気密試験|圧力差で漏えいを定量評価

気密試験

気密試験とは、容器、配管、機器、筐体などが所定の差圧条件下でどの程度漏えいを許容するかを評価する手法である。対象流体は空気や窒素、ヘリウムなどの気体が一般的で、評価は漏えい量(例:Pa・m³/s、mbar·L/s)や圧力減衰量、流量安定度などで定量化する。設計で定めた許容漏れ量(ALR)や運用圧力、リスク評価に基づき合否基準を設定し、製造検査、受入検査、保全点検に適用する。耐圧に主眼を置く水圧・空圧の強度確認とは異なり、気密試験はシール性能や微小欠陥の検出が目的である。試験の信頼性確保には温度・圧力の補正、治具の漏れ管理、計測器の校正が不可欠である。

定義と目的

気密試験は、内部と外部の圧力差を与え、時間経過に伴う圧力・質量・体積変化から漏えいの有無と大きさを推定する非破壊試験である。製品の安全性(可燃性ガスの滞留防止)、機能維持(真空保持、作動流体の保持)、環境保全(温室効果ガスの漏出抑制)を目的に実施される。指標は漏えいレート、試験圧力、安定化時間、バックグラウンド(外乱)であり、PV=nRTに従う気体の温度依存性を考慮して判定する。

試験方式の分類

  • 圧力減衰法(加圧・減圧):密閉容積にステップ圧を与え、所定時間の圧力降下量から漏れを推定する。治具容積と弾性変形の補正が鍵となる。
  • 差圧比較法:基準容器と試験体をブリッジ接続し差圧変化を監視する。温度ドリフトの影響を相殺しやすい。
  • マスフロー法:質量流量計で微少流入(または流出)を直接計測し、許容漏れ量との整合で判定する。
  • ヘリウムリーク(質量分析)法:トレーサガスとしてHeを用い、mbar·L/sオーダの高感度検出が可能。真空法、加圧スニッファ法がある。
  • バブル(水没)法:加圧して水中で気泡発生を観察する簡易手法。定量性は低いが欠陥位置の特定に有効。

評価指標と判定基準

漏えいレートはPa・m³/sやmbar·L/sで表すのが通例で、試験圧力、温度、相対湿度を併記する。合格基準は設計仕様(運用圧力、媒体の危険度)、シール構造、使用環境に応じ設定する。圧力減衰法では安定化時間後のΔP/Δtから体積補正して換算し、ヘリウム法ではバックグラウンド値を差し引いた実効値で判定する。バロ補正(大気圧変動)や温度補正を実施し、測定不確かさを併記するのが望ましい。

試験手順(一般フロー)

  1. 準備:開口部のブラインド、クリーンアップ、Oリングやガスケット状態の確認、体積・弾性の推定。
  2. 機器校正:圧力計、差圧計、マスフロー計、リークディテクタの校正状態を確認。
  3. リークゼロ確認:治具系単体でバックグラウンド測定しファントムリークを除去。
  4. 加圧・減圧:段階的に設定圧へアプローチし、熱的平衡まで安定化待機。
  5. 計測:所定時間のトレンドを取得し、ドリフトを補正したうえで換算。
  6. 判定と記録:合否、測定条件、補正値、トレーサビリティを記録し再現試験を行う。

装置・センサと治具設計

計測にはデジタル圧力計、差圧トランスデューサ、マスフローコントローラ、真空ポンプ、ヘリウムリークディテクタ(質量分析計)、超音波リークディテクタなどを用いる。治具は気密なクランプ機構、適切なシール材(フッ素ゴム、NBR、PTFE)と表面粗さ管理、デッドボリューム最小化が肝要である。配管は金属テフロンホースやステンレスチューブを用い、継手部の二重シールやトルク管理で外乱漏れを抑える。

設計との関係(許容漏れ量とシール選定)

設計段階では許容漏れ量(ALR)を機能要求から逆算し、試験感度と整合させる。シール構造はOリング、ガスケット、ねじ封止、レーザ溶接、ろう付けなどから選び、熱膨張差、圧力サイクル、化学適合性を評価する。締結力、表面粗さ、面圧、クリアランスは漏れ経路の支配要因であり、気密試験結果と設計パラメータをフィードバックさせて工程能力(Cp、Cpk)を高める。

誤差要因と対策

  • 温度ドリフト:断熱材や安定化時間を十分に取り、温度センサで補正する。
  • 弾性変形:容器・治具のコンプライアンスをモデル化し、体積補正を実施する。
  • 背景ガス:ヘリウム法ではバックグラウンド測定を反復し、周囲使用制限を設ける。
  • 配管・治具漏れ:スニッファで継手周りを点検し、二次側隔離弁で切り分ける。
  • 測定器のゼロ点・スパンずれ:事前・事後の点検記録を残しドリフトを評価する。

方式選定の考え方

気密試験方式の選定は、必要感度、タクト、コスト、現場性、欠陥位置特定の要否で決まる。微小漏れ検出と定量性が最優先ならヘリウム質量分析法、ライン適用とコスト重視なら圧力減衰・差圧法、位置特定が必要ならスニッファやバブル法を併用する。複合的要求ではスクリーニングと精密測定を段階化して運用するのが実務的である。

関連試験(区別の要点)

耐圧試験は強度検証を主目的とし、破断安全率や塑性変形の有無に着目する。一方、気密試験はシール性検証が主であり、合否は漏えいレート基準で判定する。水密試験は液体媒体での浸入防止を扱い、真空漏れ試験は負圧側の保持性を扱う。要求機能に応じて試験の選択と基準整合を行うことが重要である。

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