構造用鋼|種類と用途

構造用鋼

構造物や機械類の構造部材に用いられる鋼材を総称して構造用鋼鋼材という。一般構造用圧延鋼材(SS材)、機械構造用炭素鋼(S-C)材などがその代表であるが、溶接用や工具用、ばね用など様々な用途がある。

一般構造用圧延鋼材

一般構造用圧延鋼(SS:steel structure)は、引張強さによってSS330~540の範囲で規定されている。中でも、400MPaの引張強さを持つSS400は、機械的強度のバランスがよく、一般構造物や機械の補助部材に最も多く使われている。しかし、溶接部や低温での粘り強さについて保証されていない。その他、厚板用として、SPH(steel plate hot)と呼ばれる安価な熱延鋼板、薄板プレス加工用として表面が滑らかで寸法精度が高いSPC(steel plate cold)と呼ばれる冷延鋼板が規定されている。

溶接構造用圧延鋼材

溶接構造用圧延鋼(SM:steel marine)は、引張強さによってSM400~540の範囲で規定されている。溶接性と低温での粘り強さを重視した、船舶や橋などの大形溶接構造物用である。

溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材

溶接構造用耐候性熱間圧延鋼(SMA:steel marine atmosphere)も、引張強さによってSMA400~540の範囲で規定されている。中でもSMA490は、橋、鉄塔、建築物その他の塗装が困難な構造物などに最も多く使用されている。

低合金高張力鋼

低合金高張力鋼は、合金元素を少し加えることで引張強度が600~1000MPaにも高められた鋼である。高張力鋼(high tensile strength steel)(ハイテン鋼と呼ばれる)は、HT60~HT100と分類されている。強くなった分だけ構造物の板厚を薄く軽量化できるが、プレス加工や溶接性には適していない。

機械構造用炭素鋼

機械構造用炭素鋼(S-C:carbon steel)は、頻繁手に使われる鋼である。炭素の割合C〔%〕によって、S10C〜S58CおよびS09CK~S20CKが規定されている。数字はC〔%〕の中央値を示し、S45Cは炭素を0.45%含む、という意味である。
炭素量の低いものはそのままで一般鍛造品に用いられる。炭素量の比較的高いものは、熱処理(heat treatment)をして使われる。C[%]の増加に伴って、硬さ、強さは向上し、伸び、衝撃値などは低下する。熱処理をするとC[%]の影響がより大きくなる。

炭素鋼の圧延丸棒の強度および硬さとC[%]

炭素鋼の圧延丸棒の強度および硬さとC[%]

炭素鋼の圧延丸棒の伸び及び衝撃値とC[%]

炭素鋼の圧延丸棒の伸び及び衝撃値とC[%]

機械構造用合金

機械構造用合金は、鋼合金元素を添加して、熱処理を施した機械構造用合金鋼には、SCr430~445、SCM430~445、SNC631~836、SNCM431~447、SMn(433~443)、SMnC443、SACM645など合計で62鋼種もある。質量効果(mass effect)を小さくし、焼入れ性を良好にして強靭にした。SはSteel、CはCr、MはMo、NはNi、MnはMn、AはAlを意味している。3けたの数字の下2けたはC[%]の中央値を示す。その用途は強力ボルト、ナット、キー類やピン類、各種軸類、歯車類などである。表面が硬く、耐摩耗性があり、内部が強く靭性のある部品が必要なときには、浸炭用鋼や窒化用鋼が使用される。窒化による寸法変化は少ないから精密機械の重要部品に用いられる。

特殊用途用鋼

特殊用途用鋼は、鋼にS、Pb、Caを添加した鋼で、切削用、ばね用、軸受用など様々な用途に特化したものである。

  • 快削鋼鋼材(SUM:steel use machinable)
  • ばね鋼鋼材(SUP:steel use spring)
  • 高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ:steel use jikuuke)
  • 耐熱鋼(SUH:steeluseheatresistant)
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