換気扇|種類・構造・風量選定の要点

換気扇

換気扇は、室内の汚染空気や水蒸気、熱を屋外へ排出する送風機である。住宅の台所・浴室・トイレ、業務の調理場や工場の局所排気に用いられ、空気質の維持、結露やカビの抑制、熱負荷の低減に寄与する。構成は羽根車と電動機、逆止弁やグリルからなり、風量[m3/h]と静圧[Pa]の関係で性能を示す。所要換気量は室容積Vと必要換気回数nからQ=nVで見積もり、ダクト損失に見合う静圧の機種を選ぶ。

構造と作動原理

換気扇の羽根車は、軸方向に空気を送るプロペラ型と、半径方向に吐出する遠心型に大別される。前者は大風量・低静圧、後者はダクト接続に強い。モータは交流誘導形やブラシレス直流形が用いられ、後者は効率と静音、速度制御性に優れる。流体抵抗はダクト摩擦と局部損失で表され、システム曲線とファン性能曲線の交点が運転点となる。

種類と用途

  • プロペラ形・有圧形:壁面直付けやケース付きで厨房・倉庫に使用。油煙排出に適する。
  • シロッコ形(遠心):天井埋込形やダクト用。曲がりダクトでも風量を確保しやすい。
  • 全熱交換換気ユニット:熱・湿気を交換しながら換気し、暖冷房負荷を抑制する。

性能指標と選定手順

  1. 所要風量:居室は毎時0.5回程度、浴室やトイレは高めに設定。
  2. 必要静圧:直管損失ΔP=f(L/D)ρv²/2と局部損失ζρv²/2の和。
  3. 効率・消費電力:比消費電力とBEP近傍を確認。
  4. 騒音:定格dBやソーン値を参照。
  5. 余裕率:汚れ等を見込み10〜20%加算。

設置設計の勘所

吸排気のバランスを取り、短絡流を避ける。ダクトは短く曲がりを減らし、大半径エルボを用いる。屋外フードは逆風・雨水の侵入を抑える。防振金具で振動を抑え、気密施工と漏気管理を行う。湿室では防湿・防錆仕様、油煙環境では油受けと清掃アクセスを確保する。

メンテナンスと故障モード

換気扇の性能低下の主因は羽根・ダクトの汚れである。堆積物は断面と翼形状を損ない、風量減と騒音増につながる。定期的なフィルタ交換と羽根清掃、グリル洗浄が有効である。ベアリング摩耗や始動用コンデンサ劣化は振動・始動不良を招く。直流駆動ではインバータ基板の電解コンデンサ寿命が支配要因となる。

法規・基準と換気方式

建築物ではシックハウス対策として24時間換気が求められ、換気方式は第1種(給排気機械)、第2種(給気機械・排気自然)、第3種(給気自然・排気機械)に分類される。一般住宅では第3種が普及し、台所・浴室・トイレは個別の換気扇で局所排気を行う。製品安全や性能にはJISや電気用品安全法(PSE)が関わる。

安全・衛生上の留意点

可燃性ガスや粉じん環境では防爆形換気扇と導電性ダクトを用いる。防火区画を貫通するダクトには防火ダンパを設ける。逆流や結露を抑えるには断熱ダクトや気密ダンパを選び、寒冷地では凍結にも注意する。屋外設置はIP等級品とし、アース・漏電保護を確実にする。

空気工学の基礎知識

風量はm3/h、静圧はPa、空気密度は温湿度で変化する。相似則より、ファン回転数をk倍にすれば風量はk倍、圧力はk²倍、軸動力はk³倍となる。したがってインバータ制御の換気扇は低速域ほど省エネ効果が大きい。設計では摩擦係数fや局部損失係数ζで圧力損失を算定し、性能曲線と突き合わせて機種と口径を決める。