内線規程
内線規程は、日本国内で一般用電気工作物の設計・施工・維持管理を行う際の実務基準である。法令である「電気設備技術基準」およびその解釈を満たすための詳細な選定・配線・保護・検査の要件や判断根拠を体系化し、現場で迷いやすいグレーゾーンを具体化する。配線方式、ケーブルや電線の許容電流、過電流・地絡保護、電圧降下、接地方式、耐火・防火、特殊環境(湿気・高温・防爆等)までを網羅するため、設計図書の作成、施工計画、竣工検査、保守点検の各段階で指針として用いられる。
位置づけと目的
本規程は、法的拘束力を有する技術基準の実務的解釈を補完し、設計者・施工者・保守担当が安全性と適合性を確保することを目的とする。特に回路保護や絶縁協調、許容温度上昇、機器端子条件、布設条件の違いによる許容電流差など、規格票だけでは読み取りにくい事項を参照表や注記で明確化する。関連する制度や標準としては電気事業法、電気工事士法、電気用品安全法、PSEなどがある。
適用範囲
主として住宅・事務所・工場などの屋内外配線、受配電設備の一部、分電盤や配電盤、器具・機器の接続方法、接地・等電位結合、感電・火災・過熱の防止措置を対象とする。高圧・特別高圧を含む施設でも、低圧配電部や二次側回路など準拠すべき事項が存在する。建築的要件との調和も必要であり、貫通部の防火措置は建築基準法、火災安全は消防法の要求と整合させる。
構成と主要条項
感電保護と接地
基本保護(絶縁・障害物)と故障時保護(自動遮断・接地)を組み合わせる。TT/IT/TN系の考え方を踏まえ、漏電遮断器(RCD)の定格感度・動作時間を回路の接地抵抗とインピーダンスに応じて選定する。金属管・金属可とう電線管・金属ダクトは保護導体としての連続性を確保し、機器外被は等電位ボンディングでポテンシャル差を抑制する。
LIXILのキッチン導入しようと思ってサイト見てたんだけど、オプションのシンク下コンセント、下向きだとはいえ接地なしなんだなぁと。https://t.co/Uq4JrJbNqX
一昨年の内線規程変更で水回りコンセントはすべて接地極付けることが義務的事項になったけど、対応にはまだ時間がかかるってことなんかね pic.twitter.com/axawrmAyON— 東風谷さずりん (@Xatz) April 9, 2024
過電流保護と遮断協調
過負荷と短絡を区別し、上位遮断器と下位遮断器、ヒューズとの選択遮断を図る。遮断容量は推定短絡電流値以上、かつ端子耐量と導体許容温度上昇を満たすこと。始動電流の大きいモータ回路は、起動方式や時間電流特性を考慮して誤動作を避ける。
@qanow 電技・内線規程で、電動機の負荷が過負荷を生ずるおそれが無い 時は、過負荷保護は必要無い とあると思うのですが、具体的にどういう事なのでしょうか。また、モーターブレーカーは、過電流遮断器とは別物でしょうか?つまり、配… http://bit.ly/aPkrst
— 教えてgooのbot (@oshietegoo_bot) February 1, 2010
配線方式と許容電流
布設方式(露出・隠ぺい・管内・ダクト内)、周囲温度、心線数、束ね本数、熱抵抗の高い充填材の有無等で許容電流は変化する。規程の許容電流表や補正係数に基づき、導体断面積を選定する。端子温度定格(例えば機器側60℃/75℃級)を超えないよう、最も厳しい条件に合わせる。
電圧降下と需要率
電圧降下は一般回路で数%以内(目安)となるよう設計し、幹線・分岐線の合算で受電端から負荷端までの許容限度を満たす。最大需要電力は需要率・負荷率・同時使用率から推定し、主幹容量と幹線断面を合理化する。
こちらは平成27年度第一種電気工事士一般問6ですが、この問題を解くときも同じように考えて解いていますし、内線規程に準じるならばこれが基本となるでしょう。
ただしこの電圧降下の値はあくまで近似値であるため、これをもって正解としていいかどうかは実は「試験の種類によって異なる」ようです。 pic.twitter.com/B5bF7nInHj
— niko@電験アカデミア (@niko2517k) May 10, 2022
耐火・耐熱・防爆
区画貫通部は防火措置を施し、ケーブルは難燃・耐熱仕様を用途に応じて選ぶ。可燃性ガスや粉じん環境では、防爆構造機器と適切な配線付属品を組み合わせ、区域分類に適合させる。製品適合性については国際・業界規格(例:UL、RoHS、JEITA等)との整合も確認する。
お昼過ぎに電器ストーブを真ん中と右側2つを付けていましたが温かくなって来たので右スイッチを切ろうとしたらボンっと言う爆発💥のような音が鳴り漏電遮断器が切れました💦
暫く時間をおいて真ん中のスイッチの無事を確認。右側は配電盤スイッチを切った状態で入り切りは確認#電器ストーブ pic.twitter.com/abowV9h1tG
— プライベト (@privatenjoy) January 7, 2026
設計・施工での実務ポイント
- 幹線設計では温度・布設・同時使用率を反映して断面を決め、短絡発生時の熱耐量を検討する。
- 分岐回路は回路用途(照明・コンセント・空調・動力)ごとに過電流保護方式とRCD選定を最適化する。
- 接地は配電盤・金属管・機器外被の連続性を重視し、腐食環境では導体保護と接触抵抗の維持を考える。
- 建築との取り合い(スリーブ、支持金物、点検口)を早期に調整し、配線経路の熱溜まりを避ける。
- 盤内は導体引き回し長を抑え、温度上昇と電磁影響を考慮して相・中性線・PEのレイアウトを整える。
内線規程の解釈が検査員により違いますので、そこが1番怖い所です。
最近は無いですが、基本は低圧電力の負荷は必ずブレーカ直接続が基本でコンセント取付は竣工検査で弾かれ再検査でした。
電気工事の絡む方とか必ず仲良くなって下さい。
— 金細工師 (@0xxykEPWgCQMHo2) July 7, 2023
簡易計算の要点
電圧降下ΔVは、線路長L、電流I、導体抵抗r(Ω/m)および力率cosφを用いて近似できる。単相2線でΔV≈2×I×r×L、三相3線でΔV≈√3×I×r×L。設計時はリアクタンスも考慮し、余裕を見込む。短絡電流は系統インピーダンスから上限を推定し、遮断容量とクリアリング時間に対する導体熱耐量I²tを確認する。
関連規格・法令との関係
本規程は、法令の要求を実現するための実務解として機能する。製品側は適用法令と規格適合を満たす必要があり、例えば特定電気用品は電気用品安全法およびPSE適合、事業用設備は電気事業法に基づく保安要求を満たす。建築・防災との整合は建築基準法および消防法で確認する。
検査・保守
竣工検査では、絶縁抵抗、接地抵抗、保護協調(遮断器・RCDの整合)、機器端子の締付トルク、極性・位相の確認を行う。保守段階では、温度上昇の兆候(変色・臭気)、端子の緩み、ケーブル被覆の硬化や損傷、RCDの定期試験、盤内清掃・除塵を定例化する。改修時には既設回路の負荷実測と熱画像診断を組み合わせ、配線過負荷や選択遮断の崩れを是正する。
内線規程の解釈が検査員により違いますので、そこが1番怖い所です。
最近は無いですが、基本は低圧電力の負荷は必ずブレーカ直接続が基本でコンセント取付は竣工検査で弾かれ再検査でした。
電気工事の絡む方とか必ず仲良くなって下さい。
— 金細工師 (@0xxykEPWgCQMHo2) July 7, 2023
よくある不適合
- 許容電流や温度定格を無視した導体断面選定、束ね配線の補正係数未適用。
- 上位・下位遮断器の時限整合不良による選択遮断の不成立。
- RCDの過感度設定や系統インピーダンス未評価による不要動作。
- 等電位結合の不連続や接地工事の劣化放置。
- 防火区画貫通処理の不備、支持金具の耐火仕様未確認。
以上のように、内線規程は法令適合と安全性・保全性を両立させる実務の骨格を与える。配線方式・保護協調・温度上昇・電圧降下・接地といった要点を体系的に押さえ、関連法令や製品規格(UL、JEITA、RoHS等)との整合を図ることで、合理的で再現性の高い設計・施工・保守が実現できる。
コメント(β版)