光通信
光通信とは、光を搬送波として利用する通信方式である。高周波数帯域をカバーできる特徴をもつため、大容量かつ高速な情報伝送が可能であり、現代の情報インフラを支える重要な技術となっている。レーザーやLEDなどの発光素子を使い、光ファイバー内を伝搬する光信号を用いて音声やデータを送受信する仕組みが一般的である。この技術は長距離通信のみならず、家庭向けのブロードバンドサービスや産業用途においても幅広く応用されており、情報社会を支える基盤技術として不可欠な存在となりつつある。
仕組み
光通信の仕組みは、まず送信側で電気信号を光信号に変換し、それを光ファイバーなどの伝送路を介して受信側に届けることである。具体的にはレーザーダイオードやLEDが電気信号に応じて変調された光を発生させ、その光を光ファイバーに入射する。光ファイバー内を伝搬した光は、受信側でフォトダイオードなどの受光素子により再び電気信号へ変換される。こうした光の生成と受光のプロセスは極めて高速であり、数十Gbit/s以上の超高速通信を実現することができる。
【光通信の大容量化へ】NTT,マルチコア光ファイバ技術をラインナップ化 https://t.co/sTsT05dLWd 1本の通信用光ファイバで現在の光ファイバの4倍の大容量化を可能とする,4コアのマルチコア光ファイバ光伝送路の商用導入に向け,オンサイトでの建設・保守・運用技術をラインナップ化 #通信 #IOWN
— オプトロニクスオンライン (@optronics) November 15, 2024
光ファイバーの特徴
現在の光通信で主に用いられる光ファイバーは、ガラスやプラスチックなどの透明な素材を細長い線状に加工したものである。コアと呼ばれる中心部とクラッドと呼ばれる外層の屈折率を変えることで、光をコア内部で全反射させながら伝送する。これにより光信号の減衰が小さく、長距離通信においても高品質なデータ転送が可能である。また電磁波の影響をほとんど受けないため、外部ノイズによる信号劣化が起きにくいという利点がある。
利用分野
光通信はインターネット回線のバックボーンに用いられるだけでなく、光ファイバーを家庭まで直接引き込むFTTH(Fiber To The Home)によって個人向けの高速ブロードバンドサービスを可能にしている。さらに医療現場では内視鏡やレーザー治療など、光を活かした精密かつ安全な検査・治療に応用される例も多い。産業分野では、レーザー加工や光センシングによる高精度計測など、光技術を活用した先端的な取り組みが進んでいる。また通信衛星や海底ケーブルなど、グローバルな情報ネットワークを支えるインフラとしても欠かせない技術である。
通信速度と長距離伝送
高周波数帯域を利用できる光通信では、1本の光ファイバーで大容量データを同時に伝送できる。波長分割多重技術(WDM)を導入することで、異なる波長の光信号を多重化し、1本のファイバーで複数のチャンネルを並列に扱うことが可能となった。これによりテラビット級の通信容量を確保でき、世界中のインターネットトラフィックを支える基幹技術として重要な地位を占める。さらにエルビウム添加光ファイバー増幅器(EDFA)などの発展によって光信号を直接増幅し、高品質な長距離通信を実現している。
装置と技術の進歩
光通信システムを構成する装置は、発光素子や受光素子だけでなく、複雑な変調や復調を行うための回路、高精度に波長を制御するフィルタや光カプラなど、多岐にわたる。これらの要素技術は高速化と小型化が進んでおり、近年は集積フォトニクス技術により複数の光機能を1つのチップ上に統合する動きが加速している。半導体レーザーを用いた超高速変調方式やコヒーレント通信の導入で、大容量通信のさらなる拡張が期待される。量子通信の研究など先端技術の進展によって、今後も光技術の革新が続くと考えられる。
課題と展望
一方で光通信には、機械的ストレスや微小な曲げによって損失が増える繊細さや、光ファイバー端面の接続精度が通信品質に直結するなど、いくつかの課題が存在する。また高速大容量化が進むにつれ、装置の熱設計や装置間の同期、装置製造コストの高騰などにも配慮が必要となる。しかし光は電磁波干渉の影響を受けにくく、さらに波長分割や空間分割など多元的な多重手法が可能であるため、将来的にはより高密度な情報化社会を支える大規模ネットワークへの対応が進むであろう。通信分野のみならず、医療や産業、センサ技術など多彩な領域での発展が期待される技術である。