光学リソグラフィ
光学リソグラフィとは、半導体集積回路の微細パターンをシリコンウェハ上に形成するために用いられる露光技術である。フォトマスク(レチクル)と呼ばれる原版を通して光を照射し、感光性樹脂(フォトレジスト)に回路パターンを焼き付けることで、極めて小さな配線やトランジスタ構造を正確に転写する。超紫外線(UV)や深紫外線(DUV)を用いるのが一般的であるが、近年はより短波長の極紫外線(EUV)へと移行し、より微細な線幅の実現を追求している。半導体製造工程の中でも特に重要度が高いプロセスであり、高解像度や高スループットの実現が業界の競争力を左右する。
基本原理
光学リソグラフィの原理は、レンズ系を用いてマスク上のパターンを縮小投影し、ウェハ上のレジストに像を形成するというものである。露光後、現像工程で不要部分のレジストを除去し、続くエッチング工程により半導体基板上に目的のパターンを転写する流れとなる。解像度は光源の波長やレンズの開口数などに依存し、短波長かつ開口数の大きな露光装置を利用するほど細かな回路線幅を実現できる。ただし光学系の複雑化やコスト増も伴うため、装置メーカー各社は最新の技術開発にしのぎを削っている。
装置の分類
光学リソグラフィに用いられる露光装置は、大きくステッパー(Stepper)とスキャナー(Scanner)に分類される。ステッパーはウェハ上のチップ領域を一回ごとにステップ移動させながら露光する方式で、初期の装置として普及した。一方、スキャナーはマスクとウェハを同期して走査させることで露光領域を拡大し、より高速かつ精度の高い露光を可能とする。現在の最先端プロセスではスキャナーが主流であり、大口径ウェハにも対応する大規模な装置が用いられている。
DUVからEUVへ
従来、多くの半導体製造ラインでは波長193nmのArFエキシマレーザーを用いた光学リソグラフィが主流であった。しかし線幅微細化の限界に近づくにつれ、液浸リソグラフィやマルチパターニング技術といった補助手法を駆使しても十分な解像度を得ることが難しくなっている。そこで登場したのがEUV(Extreme Ultraviolet)リソグラフィで、波長13.5nmという極短波長を利用することにより、さらなる微細化を目指す動きが活発化している。ただしEUV光源の安定供給や、マスクブランクスの開発、反射光学系のコストなど多くの課題があり、実用化の段階でも技術的ハードルは依然として高い。
フォトレジスト材料
光学リソグラフィで用いられるフォトレジスト材料は、露光する波長帯に合わせて特性が最適化される。DUV向けには化学増幅型レジストが広く用いられ、高解像度と感度を両立している。一方、EUVでは短波長に対応した新しいレジスト開発が不可欠で、より高感度・高コントラスト・低ラインエッジラフネスを実現する研究が行われている。レジストの性能が向上すればライン幅縮小だけでなく、生産性や歩留まりも向上するため、素材メーカーや大学・研究機関が積極的に参入している。
アライメントと検査技術
光学リソグラフィの精度は、露光自体の解像力だけでなく、マスクパターンとウェハ上の既存層との位置合わせ(アライメント)の精度にも大きく左右される。ナノメートルオーダーの合焦や位置補正を行うため、高精度ステージと位置検出システムが不可欠となる。また露光後にパターン検査を行い、欠陥や寸法誤差をリアルタイムで補正する検査技術も重要である。欠陥検査装置やライン幅計測装置の進化により、不良チップを未然に防ぎつつ量産効率を維持することが可能となっている。
- 液浸リソグラフィで実効的なNAを高める
- デュアルパターニングによる微細化限界の突破
- ウェハレベルメタロジーで3D NAND製造にも対応