交互位相配置型(AAPSM)|マスク上の位相制御で解像度を高める

交互位相配置型(AAPSM)

交互位相配置型(AAPSM)は、リソグラフィ工程で使用されるフォトマスクの一種であり、隣り合う開口部の位相を交互に180°ずつずらして配置することで解像度向上を狙う手法である。フォトマスク上の透過部の位相を制御し、隣接するパターンどうしの干渉効果を巧みに利用することで、従来の透過型マスクよりも微細なラインや空間を高コントラストで形成しやすくなる。微細化要求が厳しさを増す半導体製造において重要な役割を果たしており、OPC(Optical Proximity Correction)や多層配線と組み合わせることでさらなるパターン精度の向上を実現できる。

基本原理

通常の透過型マスクでは、光が同位相で透過する領域が続くため、パターンが密集してくると隣接干渉による解像限界が顕在化する。一方、交互位相配置型(AAPSM)では位相シフトした透過部を隣接させることで、光の位相が打ち消し合う位置と強め合う位置を意図的に制御する。これによりエッジ部分のコントラストが高まり、ラインの勾配や解像度を飛躍的に向上させることができる。微細パターンで問題となるラインエッジラフネス(端面の揺らぎ)を低減する効果も期待されている。

半導体微細化との関係

近年の半導体プロセスでは、光源の波長よりも小さいサイズのパターンをいかに正確に形成するかが核心的な課題となっている。線幅やゲート長のさらなる微細化を可能にするためには、レンズの数値開口(NA)を高めるだけでなく、マスク側での工夫が欠かせない。交互位相配置型(AAPSM)は、干渉効果を積極的に利用して転写パターンを明瞭化する技術の代表格であり、EUV(極端紫外線)リソグラフィが普及する前後においても有力なソリューションの一つとされている。

位相シフト領域の設計

隣り合う開口部の位相を交互に180°ずつずらすには、フォトマスク上に段差を設けるか、膜厚や材質を変化させるなどの物理的な加工が必要となる。こうした段差の精度や膜厚制御は、最終的なリソグラフィ性能を大きく左右するため、フォトリソグラフィ以外にもエッチングやメタライゼーション技術の高い水準が求められる。また位相シフト領域を部分的に適用する場合もあり、OPC手法と組み合わせてパターン形状を最適化することで、トータルな転写品質を高める設計が行われている。

欠陥検査とメンテナンス

高精度な段差や膜厚を必要とする交互位相配置型(AAPSM)では、通常のマスクよりも欠陥検査やメンテナンスの難易度が上昇する。位相ずれや膜の局所的な厚み変化は、投影パターンに直接反映されてしまい、ライン欠陥やブリッジ不良を引き起こす恐れがある。そのため専用の検査装置やシミュレーションを駆使し、段階的に欠陥を洗い出す工程が不可欠となる。歩留まりとコストのバランスをとるため、欠陥発見後のリペア技術やクリーニングプロセスも高度化が進んでいる。

他のフェーズシフトマスクとの比較

フェーズシフトマスクには、交互位相配置型(AAPSM)のほかにも強度分布を制御する様々な手法が提案されてきた。例えば半透明膜を用いるPSM(Phase Shift Mask)や、小開口部で局所的に位相変化を起こす方式などが挙げられる。これらの手法はいずれも位相シフトによる干渉効果を狙っているが、適用範囲や加工難易度が異なるため、パターン寸法やレンズ特性、量産性といった複数の要因を考慮して使い分けられている。