三相誘導電動機
三相誘導電動機は、三相交流電源によって固定子に回転磁界を発生させ、電磁誘導によって回転子に電流を流して回転力を得る電動機である。構造が比較的簡単で堅牢性が高く、保守も容易であるため、工場のポンプ、ファン、コンベア、圧縮機など幅広い産業設備で使用されている。
三相誘導電動機の基本原理と回転磁界
三相誘導電動機の動作は、固定子に生じる回転磁界と電磁誘導を利用している。固定子には120度の電気角で配置された三相巻線があり、そこに三相交流を流すと、一定の速度で回転する磁界が形成される。この回転磁界が回転子を横切ることで、電磁誘導によって回転子に起電力と電流が生じる。回転子に流れる電流と回転磁界との相互作用によって電磁力が発生し、その結果として回転トルクが生じる。回転子は回転磁界の方向へ回転するため、電源の相順を入れ替えると回転方向も逆になる。この原理は、電磁誘導の代表的な応用例の一つである。
【三相誘導電動機】
ACモーターの代表格が三相誘導電機。別名「かご形誘導電動機」と呼んでいる。これは形が「かご」によく似ているから特徴
・構造が簡単で堅牢
・消耗部分がなく取り扱いが容易
・200V電源で直接駆動制御ができる
・負荷変動に対して速度変動が少ない
・安価で長寿命 pic.twitter.com/JJCn3TDOWh— ドラフター|東大阪機械制御 (@drafter_san) May 11, 2020
同期速度と回転磁界
回転磁界が回転する速度を同期速度といい、電源周波数と固定子の極数によって決まる。同期速度Nsは、電源周波数をf、極数をpとすると、次式で表される。
Ns=120f/p
例えば、50Hzの4極電動機では同期速度は1500min-1、60Hzでは1800min-1となる。ただし、実際の回転子速度は同期速度よりわずかに低くなる。
【三相誘導電動機の回転速度】
三相誘導電動機の回転速度Nはその電動機のP極数(ポール)とf電源周波数によって決まる周波数が高ければ高いほど、極数が少なければ少ないほど回転速度が上がる。周波数は東日本では50Hz、西日本では60Hz。この周波数を自由に変えるれるのがインバーター pic.twitter.com/uwGlqELqxg
— ドラフター|東大阪機械制御 (@drafter_san) May 11, 2020
主要な構造:固定子と回転子
三相誘導電動機は、主として固定子、回転子、軸受、フレーム、冷却装置などから構成される。
- 固定子:電磁鋼板を積層した鉄心と、三相交流を流す固定子巻線から構成される。
- 回転子:かご形回転子または巻線形回転子が用いられる。
- 軸:回転子の回転を外部の負荷へ伝達する。
- 軸受:回転軸を支持し、回転による摩擦を小さくする。
- フレーム:内部部品を保護するとともに、電動機の機械的強度を確保する。
- 冷却装置:運転中に発生する熱を外部へ放散する。
一般の扇風機は補償回路の一切付いていない単相かご型誘導電動機に交流をそのまま流しているので力率(※詳しくは「LR回路」で検索)がめっちゃ悪いのに対し、ブラシレス直流モータは直流を名乗りながらも中身はインバータ付きの三相PMSMなのです。インバータを噛ましてあるので省エネ。 https://t.co/lG5CIdlLvG
— ゚ (@JOYO231) June 9, 2026
すべりの概念とトルク特性
すべりとは、回転磁界の同期速度と回転子の実際の回転速度との差を表す量である。すべりsは、同期速度をNs、回転子速度をNとすると、次式で表される。
s=(Ns-N)/Ns
回転子が同期速度と完全に一致すると、回転子から見た回転磁界の相対速度が0となり、電磁誘導による電流が生じなくなる。そのためトルクも発生しない。実際の三相誘導電動機では、負荷に応じたすべりを生じながら運転する。負荷が増加すると一般に回転速度が低下してすべりが増加し、回転子電流が増加することで発生トルクも増加する。
三相カゴ型誘導電動機の原理説明の動画が好評なのでもう一つ。
カゴでなくても円筒でも廻ります。回っているのは油性マーカーのアルミ容器を切断した物です。 pic.twitter.com/NjV4uOOx96— ラジオペンチ (@radiopench1) December 29, 2022
延暦寺駅の巻き上げ室の紹介です。動画は発車合図から滑車起動する様子です。現在はVVVF装置による自動運転となり、三相誘導電動機を使用しています。電動機は2台あり、AC400V、180kwの出力です。#延暦寺駅 #VVVF #ケーブルカー pic.twitter.com/0RfkqEmt99
— 坂本ケーブル【公式】 (@Sakamoto_Cable) July 27, 2020
始動方法と速度制御
三相誘導電動機は、始動時に定格電流を大きく上回る始動電流が流れることがある。そのため、電動機の容量や負荷の特性に応じて始動方法が選択される。
- 全電圧始動(じか入れ始動):電動機を電源へ直接接続する方法で、小容量の電動機などに用いられる。
- スターデルタ始動:始動時にスター結線として各巻線に加わる電圧を低下させ、加速後にデルタ結線へ切り替える方法である。
- リアクトル始動:電源と電動機の間にリアクトルを挿入して始動時の電圧を低下させ、始動電流を抑制する方法である。
- インバータ始動:電圧と周波数を制御して始動電流を抑えながら加速させる方法で、速度制御にも利用できる。
特にインバータを用いた可変電圧可変周波数制御(VVVF制御)は、始動・停止を滑らかにするとともに、負荷に応じた回転速度制御や省エネルギー運転を可能にする。
単相100V→三相200V出せるインバータと誘導電動機で遊んでる。
電験によく出てくる拘束試験とかやってみようかなぁ。
過負荷に注意しなくては… pic.twitter.com/dxe4Lc5Lap— ひよこ@電気主任技術者 (@beazeo1) February 2, 2020
かご形と巻線形
回転子の構造によって、三相誘導電動機は主にかご形誘導電動機と巻線形誘導電動機に分類される。
- かご形誘導電動機:回転子鉄心に導体棒を配置し、その両端を端絡環で接続した構造である。構造が簡単で堅牢性が高く、保守が容易であるため、産業用電動機として広く使用されている。
- 巻線形誘導電動機:回転子に三相巻線を設け、スリップリングとブラシを介して外部抵抗を接続できる構造である。始動トルクを大きくできる特徴があるが、構造が複雑で保守が必要となる。
プラレールのモーターから電車の ”かご形三相誘導電動機” を作って単3電池駆動のVVVFで回してみました。 pic.twitter.com/O32HZK1a1U
— いわンゴ (@iwango_system) November 29, 2022
メリット
三相誘導電動機は、整流子やブラシを必要としないかご形構造では機械的な摩耗部品が少なく、長時間の連続運転に適している。また、構造が比較的単純で製造コストを抑えやすく、容量や回転速度の異なる多様な機種が存在する。ポンプ、送風機、搬送装置、工作機械など、一定速度で回転する多くの産業機械の動力源として利用されている。
★インバーター制御の問題点★
三相誘導電動機でテーブルを動かします。
今までAで問題なく運転できていました。
それがBのインバーター制御に変更した事によりテーブルが動かなくなりました。テーブルの送り速度はどちらも10mm/sです。ではなぜでしょうか? pic.twitter.com/z7E2nfAxSD— ドラフター|東大阪機械制御 (@drafter_san) May 13, 2020
保守点検と故障
堅牢な三相誘導電動機でも、長期間使用すると軸受の摩耗、巻線の絶縁劣化、冷却能力の低下、振動や異音などが発生することがある。そのため、軸受の状態確認、絶縁抵抗の測定、端子部の締付状態の確認、冷却ファンや通風経路の清掃などを適切に行う必要がある。特に欠相運転では三相の電流バランスが崩れ、異常な電流や発熱によって巻線を焼損するおそれがある。また、過負荷状態を長時間継続すると電動機の温度が上昇するため、過電流保護や過負荷保護を適切に設けることが重要である。
【ACモーターの負荷変動と速度変動】
三相誘導電動機は負荷変動に対して速度変動が少ない負荷トルクの変化100%に対して速度変動は約5%。機械の負荷トルクが変化しても曲線が急こう配なため回転速度の変化が少ないから
そのため機械の運転中に負荷が変動しても速度は大きく変化しない pic.twitter.com/TqCHHuJo80
— ドラフター|東大阪機械制御 (@drafter_san) May 12, 2020
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