ラッピングフィルム|梱包に欠かせぬ包装材

ラッピングフィルム

ラッピングフィルムとは、荷物や製品の表面を薄い樹脂フィルムで覆い、荷崩れや汚損、水濡れなどから内容物を保護するために用いられる包装資材の総称である。物流現場ではパレットに積み上げた段ボール箱の周囲に巻き付けて固定する用途が代表的だが、家庭用の食品保存ラップから工業用の防錆フィルムまで、対象範囲は幅広い。特に工場や倉庫ではパレタイザによる自動積み付けの後工程として機械式の巻き付け装置が導入されるケースが増えており、人手不足が進む物流業界において省力化の一翼を担っている。

誕生の経緯と普及の背景

ラッピングフィルムの原型は、1960年代のアメリカで木箱や麻縄に代わる軽量な梱包手段として登場した塩化ビニル系フィルムにさかのぼる。その後、加工性とコストに優れるPE(ポリエチレン)系樹脂への置き換えが進み、1980年代には巻き取りながら伸長させて張力を高める「プレストレッチ方式」が実用化された。日本国内では1980年代後半から大手物流企業を中心に導入が広がり、手巻き用の小型ロールから、荷役場や荷捌き場に据え付ける大型の全自動巻き付け機まで機種が多様化していった。

素材の構成と物性

ラッピングフィルムの主原料は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。密度はおよそ0.915〜0.925g/cm3、融点は105〜120℃程度であり、常温での柔軟性と低温環境下での耐衝撃性を両立する点が選定理由となっている。フィルム厚みは12〜30μmが主流で、薄手品は材料使用量を抑えてコスト低減とごみ減量に寄与するが、突起物のある荷物では破れやすくなるため、荷姿に応じた厚み選定が欠かせない。粘着性を付与する添加剤の配合量や、耐候性を高めるUV吸収剤の有無によっても用途が分かれる。

主な種類

  • 手巻き用ストレッチフィルム:小口配送や少量出荷向けで、専用ホルダーに装着して人力で巻き付ける。
  • 機械巻き用フィルム:自動巻き付け機に対応し、高速回転での破断を避けるため引張強度を高めてある。
  • プレストレッチフィルム:巻き付け前に200〜300%程度まで延伸し、少ない使用量で高い保持力を得る。
  • カラーフィルム・遮光フィルム:内容物の視認防止や日焼け防止を目的とし、黒色や乳白色に着色されたもの。

機械巻きと手巻きの違い

方式 作業速度 フィルム使用量 初期投資
手巻き 1パレットあたり数分 多め 低い
機械巻き(ターンテーブル式) 1パレットあたり30秒前後 標準 中程度
機械巻き(プレストレッチ対応) 1パレットあたり30秒前後 少ない 高い

ターンテーブル式はパレットを回転させながらフィルムを供給する構造であり、荷姿が不安定な場合でも比較的安定して巻き付けられる。一方、荷物側を固定してアームがフィルムを回転させるロータリーアーム式は、重量物や不安定な荷姿に適している。導入現場の荷姿バリエーションや処理量によって機種選定の基準は変わる。

現場での使い分けとコスト感

製造業の出荷現場では、フィルム単価そのものよりも「1パレットあたりの使用量」で比較する担当者が多い。プレストレッチフィルムは単価がやや高いものの、延伸により使用量を3〜5割程度削減できるため、年間の総コストでは手巻き用フィルムを下回る場合がある。また巻き数を減らしすぎると輸送中の振動で荷崩れが生じるため、搬出先の道路状況やトラックの走行距離を踏まえて巻き数を調整する現場も少なくない。単純な安さだけで資材を選ぶと、破損によるクレーム対応コストが逆に増える点は実務上の落とし穴である。

取り扱い上の注意点

保管時は直射日光や高温多湿を避ける必要がある。フィルムは経年で粘着性が低下し、巻き付け後の保持力が落ちるため、メーカーが指定する保管温度(一般に5〜35℃程度)と使用期限の管理が求められる。巻き付け機を架台や作業台に固定して運用する場合は、ローラー部への巻き込み事故を防ぐための安全カバーやインターロックの設置も欠かせない。廃棄段階では他のプラスチック資材と分別し、リサイクル区分に従って処理することが望ましい。

関連資材との組み合わせ

現場では角材によるパレット四隅の保護材や、荷崩れ防止用のタッカー留めの当て板と組み合わせて使用されることも多い。段ボール箱そのものの固定にはステープルガンを用いる場合もあり、フィルム単体ではなく複数の梱包資材を組み合わせて荷姿を完成させる工程設計が一般的である。設計段階から包装形態を見直すDFLの考え方を取り入れる企業も増えており、フィルムの巻き数や厚みも物流コスト全体の最適化対象として扱われるようになっている。

運用面での工夫

大規模な物流拠点では、リフトやぐら式リフトで上下搬送した荷物をそのまま巻き付け機へ送る一貫ラインを構築する例もある。巻き付け位置の高さやフィルムのテンション設定は、荷姿の高さやパレット段数に応じて細かく調整され、現場の熟練作業者の経験則がプログラム上のパラメータとして反映されることも珍しくない。

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