フレアリングツール|45°で確実なフレア成形

フレアリングツール

フレアリングツールは、金属管端部を円錐状に塑性変形させて「フレア(座面)」を形成し、フレアナットと組み合わせて流体を漏れなく接続するための専用治具である。冷媒配管や計装配管で多用され、代表的な角度に45°(SAE系)と37°(JIC系)がある。外径1/4, 3/8, 1/2 inch(6.35, 9.52, 12.70 mm)などの寸法群に対応し、銅・アルミ・真鍮など延性材料に適する。適切な出代設定、同心度の確保、面粗さ管理、締付トルク管理を満たすことで、繰返し耐圧と気密性を得ることができる。

役割と原理

フレアリングツールの目的は、管端を円錐ダイス(コーン)で押し広げ、密封面(シール面)と座面角度を規格値に成形することである。座面はナットの押圧で相手側シートに密着し、線接触から面接触に移行する過程で塑性・弾性変形が分担し、耐漏れ性が確保される。成形は基本的に冷間塑性加工であり、管材の初期硬さ、焼なまし状態、肉厚が仕上がり品質を左右する。

構造と種類

  • バー式:クランプバーで管を把持し、ねじ送りのヨークでコーンを押し込む一般形。
  • 偏心コーン式:偏心回転で段階的に荷重を与え、割れや偏肉を抑えやすい。
  • 自動送り式・ラチェット式:再現性を高め、現場作業の疲労を低減。
  • 電動・油圧式:多ロットや硬質材向けに押圧を安定化。

偏心コーンの利点

偏心機構は瞬間的な面圧ピークを避け、潤滑油膜保持を助けるため、表面荒れや微小割れのリスク低減に寄与する。

対応材料とサイズ

フレアリングツールは、焼なまし銅管やアルミ管に最適である。薄肉の銅管は出代過多で座面が薄くなり割れやすく、厚肉は押圧不足でベルマウス不足になりやすい。一般に45°は冷媒・給湯系、37°は油圧・計装系で多用される。寸法はinch表記(例:1/4, 3/8, 1/2)とmm換算を混在させず、ゲージブロックや専用ストッパで出代を一定化する。

作業手順

  1. 切断・面取り:パイプカッタで直角切断後、内外面のバリを除去する。
  2. クランプ:管外径に合う溝へ均等把持。滑り痕が付かぬよう清掃。
  3. 出代設定:メーカー推奨の突出し量に調整し再現性を確保。
  4. 成形:コーン先端に少量のオイルを塗布し、規定トルクまで送り込み。
  5. 検査:座面角度、同心度、表面粗さ、割れの有無を確認。
  6. 組付け:相手シートに当て、フレアナットを規定トルクで締付ける(例:トルクレンチを用いる)。

品質判定基準

  • 形状:ベルマウスが均一で、外周にひび・欠けがない。
  • 同心度:管軸と座面が同心で、偏芯量が許容内。
  • 座面粗さ:コーン筋や擦り傷が少なく、シール面が健全。
  • 寸法:外径の膨らみ過多・不足がなく、ナット内径と干渉しない。

よくある不良と対策

「割れ」は材料硬化、低温、出代過多、潤滑不足、コーン損耗が原因である。対策として焼なまし材選定、作業前の工具清掃、適正潤滑、コーン交換を行う。「偏芯」はクランプの咥え不良や切断面の斜行に起因し、直角切断と把持面の脱脂清掃で抑制できる。「にじみ」は座面傷やトルク不足が主因で、再成形または座面研磨、規定トルク管理で解消する。

規格・適合性

フレアリングツールの座面角は用途により異なり、SAE系45°、JIC系37°、ISO 8434-2(37°フレア)などに対応する治具が流通する。相手側継手の規格に合わせて角度・寸法系列を選定することが重要である。締付は相手部品の仕様に従い、過大トルクは座面陥没やナット座屈の原因となる(必要に応じボルトナット締結の基礎知識を参照)。

関連工具・周辺作業

  • 切断・曲げ:パイプカッタやパイプベンダーで前加工を安定化。
  • 保持・回し:狭所ではパイプレンチや薄口スパナを併用。
  • 計測:アングルゲージ、マイクロメータ、表面粗さ比較板で検査。
  • 潤滑:極圧添加剤入りの軽粘度オイルを少量使用し、粘着性残渣は拭き取り。

潤滑剤の選定

鉱物油系の軽粘度グリースまたは機械油が一般的である。フッ素系やシリコーン系は冷媒・シール材適合性を確認のうえ選ぶ。

保守・管理

フレアリングツールは、コーン先端の磨耗・欠け、クランプ面の傷・油分を日常点検し、異常があれば交換する。収納時は乾拭き後に防錆油を薄塗りし、成形精度を保つ。セット内のサイズ欠品は不適合使用の原因となるため、在庫管理も品質の一部である。

実務の勘所

現場では「出代の再現」「同心把持」「わずかな潤滑」の三点が歩留まりを左右する。再現性確保のため、出代ゲージやストッパ付きのフレアリングツールを選び、締付けは必ずトルクレンチで管理する。素材は延性の高いや焼なまし材を優先し、低温環境では成形前に軽く暖めると割れが抑制できる。