データム|幾何公差を指定するときの基準

データム

データム(datum)とは、形体の姿勢、位置、振れなどを決めるために設定した基準である。あくまでも幾何公差を指定するにあたる、理想的な幾何学的基準であり、現実には存在しない。データムは、データム点、直線、軸直線、平面、中心平面がある。幾何公差は、これらのデータムを基準として公差域が設定される。

データム

データム(datum)は、関連形体に幾何公差を指示するときに、その公差域を規制するために設定した理論的に正しい幾何学的基準である(JISB0022)

実用データム形体

実用データム形体(simulated datum feature)とは、データム形体に接してデータムの設定を行う場合に用いる、十分に精密な形状をもつ実際の表面である(JISB0022)といえる。具体的には、精密定盤や工作機械のテーブル、マンドレル(測定したい穴の径と長さに合わせてつくられるピンゲージ状のもの)である。これらは精度が高くデータムに近いが、理想的な形状とは異なり、データムにはならない。

データム形体

データム形体(datum feature)とは、データムを設定するために用いる対象物の実際の形体をデータム形体という。(JISB0022)。具体的には、実際に対象となる部品の表面や穴などである。

データムの表し方

データムには、点(データム点)、直線(データム直線)軸直線(データム軸直線)、平面(データム平面)、中心平面(データム中心平面)がある。それに対して、三角記号を用いることで表現する。

1つのデータムで指定

単独形体によって設定されるデータムは、1つの大文字のアルファベットだけをもちいて表現される。

共通データムで指定

共通データムとは、二つの形体によって設定されるデータムである。データム「A-B」(AハイフンB)のように、ハイフンで結んだふたつのアルファベットを用いる。共通データム軸直線、共通データム中心平面、共通データム平面の3種類がある。

共通データム軸直線

共通軸線のデータムで指定

共通データム平面

データムの優先順位の指定

複数のデータムによって設定される場合、データムに用いる大文字は形体の優先順位に左から右へ書かれる。

円筒の中心軸

円筒の中心軸をデータムとする場合は、円筒部品の直径を示す寸法線に突き当てるようにデータムをつける。(図形にデータムをつけてはいけない。)

円筒(穴)の中心軸

円筒(穴)の中心軸をデータムとする場合は、穴の直径を示す寸法線にデータムをつける。

データム平面

平面をデータムとする場合は、データム平面とする面に直接、または寸法補助線を出して、そこにデータムをつける。データム形体を、実用データム形体との最大間隔が限りなく小さくなるように置いてデータム平面を設定する。

ねじ山のデータム

ねじ山に対して指示する幾何公差・データムは、ピッチ円筒から禅き出される軸線に適用する。歯車およびスプラインに対して指示する幾何公差データムは、ピッチ円直径を表す”PD”、外径を表す”MD”、谷底径を表す”LD”のような特別な指示がされた特定の形体に適用する。なお、MDはMajor Diameter、LDはLeast Diameterと表現する。

JIS B 0021 !998

JIS B 0021 !998

理論的に正確な寸法の図示方法

位置度、輪郭度、傾斜度の公差に対して、それぞれ理論的に正確な位置、姿勢、輪郭を決める寸法は「理論的に正確な寸法」と呼ばれる。データムの相対的な姿勢の決定に指示する寸法も含まれる。位置度、輪郭度、傾斜度は、「理論的に正確なため」公差を設ける必要はなく、長方形の枠で囲んで示す。

理論的に正確な寸法の図示方法(JIS B 0021 1998)

理論的に正確な寸法の図示方法(JIS B 0021 1998)

突出公差域の指示方法

突出公差域をその形体自体の内部ではなく、その外部に指定する場合、その突出部を細い二点鎖線で表し、その寸法数字の前および公差値のあとに記号Pを記入する。突出公差域は、姿勢公差および位置公差で使われる。

突出公差域の指示方法(JIS B 0021 1998)

突出公差域の指示方法(JIS B 0021 1998)

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