チッソガス|大気の約78%を占める地球上で最も豊富な気体

チッソガス

チッソガス(窒素ガス、英: nitrogen gas)は、元素記号 N、分子式 N2 で表される不活性気体である。大気の約78%を占める地球上で最も豊富な気体であり、常温・常圧下では無色・無臭・無毒で化学的に極めて安定している。その不活性な性質から、工業・製造・食品・医療など幅広い分野で利用されており、とりわけ酸素との接触を遮断するパージガスや冷媒として不可欠な存在となっている。

基本的な性質

チッソガスは分子量28.014、沸点は-195.79℃(77.36 K)、融点は-210.01℃(63.15 K)を持つ二原子分子である。N≡N の三重結合は結合エネルギーが945 kJ/mol と非常に高く、これが常温での高い化学的不活性さの根本的な原因である。水への溶解度は非常に低く、20℃・1 atm において約0.019 mL/mL(水)程度である。また、空気よりわずかに軽く(比重0.967)、液体窒素は-196℃付近で沸騰する極低温液体である。酸素との混合時にも爆発性はなく、取り扱いの安全性が高い点が工業的に評価される。

製造方法

工業的なチッソガスの製造は、大別すると深冷分離法(空気液化分離法)と非深冷分離法(PSA・膜分離)の2種類がある。深冷分離法は空気を圧縮・冷却して液化し、酸素(沸点-183℃)と窒素の沸点差を利用して蒸留分離する方式で、純度99.999%以上の高純度品が得られる。一方、PSA(Pressure Swing Adsorption:圧力スイング吸着)法は、ゼオライト系吸着剤に酸素を優先的に吸着させ、残余の窒素を回収する方式であり、比較的小規模かつオンサイトでの製造に向く。膜分離法は中空糸膜を通して酸素と窒素を分離するもので、装置が小型・軽量で起動が速い反面、純度の上限がおよそ99.5%程度となる。用途に応じてこれらの方式が使い分けられている。

深冷分離法のプロセス概要

深冷分離法では、まず原料空気をフィルターで除塵した後、多段圧縮機で加圧する。次に水分・二酸化炭素を除去し、熱交換器で冷却して液化空気を得る。その後、精留塔(蒸留塔)内で沸点差を利用して酸素・アルゴン・窒素に分離し、ガスまたは液体として貯蔵・出荷する。大規模な空気分離装置(ASU: Air Separation Unit)では1日あたり数千トン規模の窒素を生産することも可能である。

主な用途

チッソガスの用途は多岐にわたる。製造業では金属の溶接・切断時の酸化防止、電子部品の半導体製造における雰囲気制御、熱処理炉内のパージなど、酸素や水分を排除する目的で広く使われる。化学工業では爆発性雰囲気を防ぐためのブランケットガス(不活性化ガス)として使用され、タンクや配管内の置換にも用いられる。食品分野では酸化による品質劣化を防ぐ置換包装(MAP包装)に使われ、コーヒーや菓子類の鮮度保持に貢献している。医療分野では液体窒素として凍結保存や皮膚治療(凍結療法)にも利用される。

  • 電子・半導体:クリーンルーム内の雰囲気制御、エッチング装置のパージ
  • 金属加工:溶接・ろう付け時の酸化防止、レーザー切断のアシストガス
  • 化学・石油:タンク・配管のブランケット、反応炉の不活性化
  • 食品・医薬品:MAP包装、凍結乾燥、液体窒素による急速冷凍
  • 医療:凍結療法(液体窒素)、細胞・検体の長期凍結保存
  • 消防・安全:不活性消火システム(IG-100)への適用

危険性と安全管理

チッソガスは無毒であるが、密閉空間での大量漏洩時には酸素濃度を低下させ、窒息死をも

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