スロットルポジションセンサー|開度信号でスロットル制御最適化

スロットルポジションセンサー

スロットルポジションセンサーは、スロットルバルブの開度(角度)を電気信号に変換してECUへ送るセンサーである。可変抵抗式や磁気式(ホールIC)などの方式があり、開度に応じておおむね0.5〜4.5Vの連続電圧を出力する。ECUはこの信号を用いて燃料噴射量、点火時期、アイドル制御、スロットル・バイ・ワイヤにおけるスロットル弁のフィードバック制御などを行う。

役割と動作原理

スロットルポジションセンサーはスロットル軸に連結され、角度を電圧に写像する。可変抵抗式は抵抗体上を摺動子が移動して電圧分圧を変化させる。磁気式は磁石とホール素子で角度を非接触検出する。いずれも直線性、分解能、温度特性が重要で、冗長2回路(デュアルトラック)で安全性を確保する設計も一般的である。

ECUとの連携と制御

ECUはTPS(スロットルポジションセンサー)に加え、MAF、MAP、O2、クランク・カム位相などの情報を統合して負荷推定を行う。加速時は加速増量、減速時は燃料カット、アイドル時はISCVや電子スロットルで回転数を安定化する。ETCでは目標開度に対するフィードバックで応答遅れやオーバーシュートを抑える。

故障症状と診断

  • アイドル不安定、ハンチング、失火感、燃費悪化、加速時のツキの悪化

  • AT車でのシフトショック増大、電子スロットル車のリンプモード移行

  • MIL点灯やDTC(P0120〜P0124、P0220系など)の記録

診断ではスキャンツールのTPS%を見ながらペダル操作に対し滑らかに0〜100%へ変化するかを確認する。オシロスコープやDMMで信号線をモニタし、デッドスポットや瞬断、ノイズ混入がないかを点検する。

調整・交換と学習

ワイヤ式スロットルでは取付長穴で初期位置を微調整し、アイドル時と全開時の電圧が規定範囲に入るよう合わせる。電子スロットルや非接触式では機械調整よりECUの「スロットル初期化」「アイドル学習」が要る場合がある。交換後はDTC消去、自己学習の実施、締結トルクやハーネスの応力抜きなど基本事項を確実に行う。

設計と信頼性

スロットルポジションセンサーは高温多湿・振動・粉塵・油分環境で動作するため、IP等級のシール性、端子の耐腐食性、EMC耐性、温度ドリフトの小ささが要求される。接触式は摩耗・酸化対策に導電性ポリマーや多点接触を用い、非接触式は長期安定性と冗長化で機能安全(ISO 26262)に適合させる。信号はECUでフィルタリングし、異常時はフェイルセーフを発動する。

測定・テスト手順の例

  1. 車両を安全に保持し、バッテリー電圧とアース状態を確認する。

  2. イグニッションONで信号線とセンサーGND間の電圧をDMMで測定する。

  3. スロットルをゆっくり全閉→全開へ動かし、0.5〜4.5V前後で連続的に変化するか確認する。

  4. 途中の電圧落ち込みや断続がないか、オシロで波形をチェックする。

  5. スキャンツールのTPS%表示と実測電圧の相関を突合し、学習の要否を判断する。

よくある誤解と注意

TPSとMAF/MAPの役割は異なる。TPSは開度、MAFは吸入空気量、MAPはマニホールド圧力を示す。アイドル不調をTPSだけで判断せず、二次エアやスロットルボディの汚れ、配線接触不良も併せて点検する。接点復活剤の多用は抵抗値を乱すおそれがあるため、メーカー推奨の清掃・交換手順に従う。

関連規格・用語

OBD-II(SAE J1979)に基づく診断、車載通信はISO 11898(CAN)が一般的である。機能安全はISO 26262が枠組みを示す。アクセルペダル側のAPPセンサーとスロットル弁側のTPSは別デバイスで、電子スロットルでは双方の相互監視により冗長性を確保する。

用語と同義表現

スロットルポジションセンサーは「スロットル開度センサー」「TPS」とも呼ばれる。車種により基準電圧、配線色、学習手順は異なるため、サービスマニュアルの数値に合わせて点検・調整を行うことが肝要である。