スターリングサイクル|外燃式ピストンエンジンのガスサイクル

スターリングサイクル

スターリングサイクルは、外燃式ピストンエンジンに適用されるガスサイクルである。気体は温めると膨張し、冷めると圧縮する性質を利用し、シリンダ内の作動ガスを外部から加熱・冷却することで圧縮させ、仕事を得ているサイクルモデルである。外燃機関であることから熱源の多様性、排気ガスがクリーンであること、複雑な弁機構などがなく静寂性が高い。近年では、逆サイクルとして冷凍機に利用されている。

P‐V線図

スターリングサイクルのP-V線図は次のようになる。

T‐S線図

スターリングサイクルのT-S線図は次のようになる。

サイクル

スターリングサイクルのサイクルは、等容加熱、等温膨張、等容冷却、等温圧縮過程を繰り返すサイクルである。理想的なスーリングサイクルは、このような2つの等温変化と等容変化からなり、蓄熱器を介して完全な熱再生が可能であれば熱機関としての理論効率は同じ温度範囲で作用するカルノーサイクルと同じになる。

A→B 等容加熱過程

A→Bは等容加熱過程で、圧縮側ピストンは上に、膨張側ピストンは下に移動する。エンジン内の作動ガスが加熱器(ヒーター)を通過し、高温となり膨張空間へ流れ込む。容積一定で加熱され、エンジン内のガス圧力が高まる。

B→C 等温膨張過程

B→Cとは、等温膨張過程で、両方のピストンは下向きに移動し、温度を一定に保ちながら作動ガスは膨張する。エンジンは外部に仕事を行う。

C→D 等容冷却過程

C→Dは等容冷却過程で圧縮側ピストンは下に、膨張側ピストンは上に移動する。エンジン内の作動ガスが冷却器(クーラー)を通過し、低温となり圧縮空間へ流れ込む。エンジン内のガス圧力が容積一定で低下する。

D→A 等温圧縮過程

D→Aは等温圧縮過程で、次の過程では両ピストンは上に移動し、作動ガスは温度を一定に保ちながら圧縮される。エンジンは外部より仕事がされ、外部に熱を捨てる。

理論熱効率

理論熱効率は次式となる。カルノーサイクルの熱効率と同じである。

理論熱効率の計算例

逆スターリングサイクル

逆スターリングサイクルは、小型の装置構成で極低温を発生させることが可能なサイクルで冷凍機として利用されている。媒体としてヘリウムガスや水素ガス、窒素ガスなどを採用することができるため環境性に優れている。

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