コンジット|電気配線を守る金属または樹脂管

コンジット

コンジットは、電線・ケーブルを機械的損傷、湿気、紫外線、化学薬品、ねずみ咬害などから保護し、経路を規律化するための電線管・可とう管の総称である。建築・プラント・装置組立において配線の信頼性と保全性を高め、火災時の延焼抑制や電磁環境の改善にも寄与する。管内充填率、曲げ半径、接地、貫通部の防火区画など、多面的な設計条件を満たす必要がある。

基本機能と設計視点

コンジットの主機能は「保護」「支持・経路化」「シールド(遮蔽)」「防火」の4点である。設計では、ケーブル外径と将来増設分を見込んだ管内占積率、最小曲げ半径、引張力、環境(屋外・屋内・湿潤・腐食)、施工手段(曲げ加工可否)を総合評価する。盤内や装置内では清掃性と保守アクセス性も重要である。

種類(剛体・可とう・樹脂)

  • 剛体金属管:鋼・ステンレスが代表。耐衝撃・難燃性に優れ、EMI/RFI遮蔽にも有利。防爆地区や屋外配管で選定される。

  • 金属可とう管:波形金属や金属編組を備え、曲げ追従性が高い。装置間の可動・振動部や狭小スペースに適する。

  • 樹脂管(硬質・可とう):PVCやポリエチレンなど。軽量で施工性が高く、腐食環境に強い。難燃・自己消火グレードを確認する。

材質と耐環境性

鋼管は機械強度が高い反面、腐食対策として溶融亜鉛めっきや粉体塗装が用いられる。ステンレスは耐食性に優れるがコスト高である。樹脂は薬品や湿気に強い一方、紫外線や温度域、可塑剤移行の影響を検討する。防水・防塵はIEC 60529のIP等級で評価する。

付属品・接続要素

コンジットの信頼性は付属品の品質に左右される。カップリング、エルボ、ティー、ロックナット、ニップル、シールワッシャ、ケーブルグランド等を正しく選定する。ねじ締結には適正トルクと座面処理が必須で、必要に応じてボルトの締結理論を参照する。

施工と曲げ加工

剛体管はベンダで冷間曲げし、しわ・扁平率を許容範囲に収める。長手方向の勾配は結露排水やケーブル引通し性に影響するため、最長引通し距離と中間プルボックス配置を計画する。可とう管は最小曲げ半径と繰返し曲げ寿命をカタログで確認する。

配管レイアウトと支持

支持金具は荷重、地震・振動、温度伸縮を考慮してピッチを設定する。トレイ・ダクト・ラックとの取り合いでは、交差部の隙間や保守動線を確保する。屋外では紫外線・風荷重、屋内天井裏では耐火区画と点検口配置が重要となる。

電磁環境・アース

金属コンジットはシールドとして機能するため、連続性(ボンディング)を確保し、低インピーダンスで接地する。ノイズ源からの距離、並走長、ループ面積を最小化し、信号線は電力線と分離する。塗装面越し接続では導電ガスケット等で接触抵抗を下げる。

防火・防爆・防水

区画貫通部は防火措置(耐火シール材、モルタル等)で規定性能を満たす。防爆エリアでは管・付属品ともに該当規格の防爆構造を選ぶ。屋外・水回りはIP等級に応じたシールとブリーザを組み合わせ、結露による絶縁低下を防止する。

規格・適合性

コンジットおよび付属品はJISや各種工事標準に適合することが望ましい。呼び径と内径、公差、耐圧・耐衝撃、難燃性(UL 94 等級など)を確認し、混用時はねじ規格・座面仕様の互換性を検証する。識別表示・施工記録の整備も品質の一部である。

選定フロー

  1. 環境条件の確定(屋内/屋外、腐食、温湿度、洗浄頻度)。

  2. 電気要件(絶縁、EMC、防爆)と機械要件(衝撃、曲げ、可動)。

  3. ケーブル群の外径・本数・将来余裕から管径と占積率を算出。

  4. 支持間隔、プルボックス位置、引通し手順を計画。

  5. 付属品・シール・接地方式を決定し、図面・部材表に反映。

他方式との使い分け

ケーブルトレイやダクト、モールは開放性・増改造の容易さが利点だが、機械的・環境的保護はコンジットが優位である。盤内やクリーン環境では樹脂管、重工現場や屋外では金属管が選ばれやすい。可動部は金属可とう管や高フレキ性樹脂管を用いる。

品質保証と保全

受入れでは外観、内面バリ、寸法、導通、付属品適合を確認する。運用後は固定具の緩み、被覆劣化、シール破断、腐食発生、接地連続性を点検し、必要に応じて交換・再塗装を行う。記録のトレーサビリティがトラブルシューティングを加速する。

代表的な適用例

プラント配管ラック上の電源幹線、食品工場の洗浄エリア、屋外監視カメラの引込、装置間インターフェース、ロボット可動部の信号線など、用途は広範である。適切なコンジット選定は、安全性・信頼性・保守性のバランスを最適化し、ライフサイクルコスト低減に直結する。

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