コンクリートトラフ|鉄道・電力のケーブル保護に欠かせない道導

コンクリートトラフ

コンクリートトラフは、断面がU字形または箱形をしたプレキャスト製の溝状製品である。工場で製造した部材を現場に並べて据え付ける。用途は大きく二つに分かれ、電力ケーブルや通信ケーブルを外力から守る「ケーブルトラフ」と、雨水や排水を流す側溝がある。1本の長さは600mmから2000mm程度が一般的で、上面にはコンクリート製や鋳鉄製のふたを載せる。道路沿い、工場構内、変電所、鉄道の軌道敷など、地面に沿って線状の空間を確保したい場所で広く使われている。

現場打ちからの置き換えが進んだ理由

溝を現場で施工する場合、型枠を組み、鉄筋を配し、コンクリートを打設して、脱型までに最低でも数日を要する。養生を含めれば1週間近く現場を占有することも珍しくない。これに対してプレキャストコンクリート製のコンクリートトラフは、基礎を整えた翌日にはふたまで載せられる。1日あたりの据付量は、条件が良ければ50mから100m程度に達する。道路工事で交通規制の時間を短縮できる点は発注者にとって大きな利点で、品質が工場で安定する点も評価されている。

形状と種類

形状は、底が平らなU字形、底に水勾配をつけた断面、ふたを嵌め込む段付きの箱形などに分かれる。内幅は150mm程度の小さなものから、1000mmを超える大断面品まで製品化されている。用途と荷重条件ごとの代表的な組み合わせを下表に示す。

区分 主な用途 想定荷重 ふたの例
歩道・構内用ケーブルトラフ 工場構内の配線、歩道下の通信線 歩行者、軽車両 コンクリート平板
車道用ケーブルトラフ 変電所周辺、道路横断部の電力線 T-25(後輪1輪あたり100kN) 鉄筋コンクリート製、鋳鉄製
排水用U字溝 道路側溝、農地・宅地の排水 T-14 から T-25 溝蓋(グレーチング)
大断面トラフ 共同溝の支線、プラント内幹線 設計ごとに個別検討 分割式の重量蓋

製造のしくみ

製造は、鋼製型枠に鉄筋を組み込み、配合したコンクリートを充填して締め固める流れで進む。小形品は振動台で締め固め、大形品は型枠振動機を併用する。成形後は蒸気養生を行い、50℃から60℃で数時間保持して、翌日の脱型に必要な強度を出す。出荷までの材齢は製造所によって異なるが、設計上の基準は材齢28日の圧縮強度で、30N/mm2程度を満たす製品が多い。

規格と品質の見方

国内では日本産業規格のJIS A 5372(プレキャスト鉄筋コンクリート製品)やJIS A 5371(プレキャスト無筋コンクリート製品)の枠組みで、側溝類やふた類が扱われる。ただし、ケーブルトラフの寸法体系は電力会社、鉄道事業者、道路管理者が独自の仕様書を持つ場合が多い。発注時には、JISの適合表示だけで判断せず、発注元の標準図と照合するのが実務上の近道である。寸法公差は長さ方向で数mm、内幅で±5mm前後に収めるのが通例で、公差が大きいと目地の隙間がそろわず、施工後に段差が残る。

据付と施工の実務

施工の精度は基礎で決まる。掘削底面を整え、砕石を厚さ100mmほど敷いて転圧し、その上にレベリング用の敷きモルタルを30mm程度打つ。ここで勾配を確保しておかないと、排水用では水が溜まり、ケーブル用でも内部に水が滞留して絶縁劣化を招く。排水用の標準的な縦断勾配は、現場条件にもよるが、1/100から1/200程度である。

重量の見積もりも欠かせない。内幅300mm、長さ2000mmクラスの車道用で1本あたり400kgを超えることがあり、クレーン付きのバックホウか、専用のつり具が必要になる。人力で扱える小形品と、重機が必須の中形品以上とでは、1日の歩掛かりもコストも大きく変わる。見積段階で製品重量を確認しておくと、重機手配の手戻りを防げる。

目地とふたの扱い

接続部の処理には、モルタル充填、ゴムパッキン、シーリング材の三つの方法がある。排水用で漏水を避けたい場合はゴムリング継手が適し、ケーブル用で後からの増設や撤去を見込む場合は、目地を固めない乾式の施工が選ばれる。ふたの段差は歩行者のつまずきや自転車のスリップにつながるため、設置後の高さ差は2mm以内を目安に管理したい。

供用後の点検項目

竣工後も定期的な点検で寿命は大きく変わる。目視で確認する主な項目は次のとおりである。

  • ふたのずれ、ひび割れ、がたつきの有無
  • トラフ本体の欠け、鉄筋露出、セメント分の溶出による白華
  • 目地の開きと、土砂の流入状況
  • 内部の堆積物と、排水の流下状態
  • ケーブルを敷設している場合は、被覆の傷と防火砂の沈下

選定時に迷いやすい点

コスト面では、同じ内幅でも荷重区分がT-14からT-25に上がると、肉厚と配筋が増えて製品単価が2割から3割ほど高くなる傾向がある。しかし、歩道だと思っていた場所に工事車両が乗り入れて破損する例は少なくない。将来の車両動線を施主に確認しておくことが、結果的に最も安い選択になる場合も多い。寒冷地では、凍結融解に耐えるため空気量を4%から6%に調整した製品を指定し、塩害の懸念がある沿岸部では、かぶり厚さを標準より10mmほど増すといった追加仕様も検討に値する。

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