アークスタッド溶接
アークスタッド溶接(スタッド溶接)とは、主として金属板などの母材に対してスタッドと呼ばれるボルトやピンをアークを利用して直接溶接し、強固に固定する技術である。この方法は自動車や建築分野など、幅広い産業において高い接合強度と効率を両立できる利点があるため、薄板から厚板までさまざまな場面で用いられている。また、短時間で溶接が完了し、歪みも比較的少ないため、大量生産ラインにも適した工法として知られている。
仕組み
アークスタッド溶接の仕組みは、まずスタッドを通電し、先端と母材との間に高温のアークを発生させることで金属を一時的に溶融し、圧力を加えながら急速に固化させるという流れである。具体的には、溶接ガンに装着したスタッドの先端部分を母材に軽く接触させた状態で通電し、スタッドをわずかに引き上げるとアークが生じ、同時に先端からフラックスが供給されて両者が溶け合う。溶融が十分に進んだタイミングでスタッドを母材に押し付け、電流を遮断して瞬時に固化させることで、局所的ながら強力な接合が得られるのである。
おはようです。
今日の津島市は最高7℃の雨今日は検査の様子を。
ステンレス座のアーク溶接とスタッド溶接の取付位置チェック。特に位置チェックはどこかが少しでもずれてたら入らない3連治具なのですが逆に入った時は気持ち良いのです(笑)#企業公式が毎朝地元の天気を言い合う #イマソラ pic.twitter.com/idrM32lnWZ
— 伊藤製罐工業【公式】~イトウセイカンコウギョウ~ (@110seikan) January 11, 2022
用途
アークスタッド溶接は、自動車分野でボルトやピンを多数取り付ける工程から、建築業界で床板や梁などの部材にスタッドを設置してコンクリートの付着や補強を高める場面まで、広範囲に利用されている。加えて造船業では、船体内部の部材組み立てに用いられることも多く、船舶内部の居住区画や配管類の固定などに役立っている。さらに電力プラントなどの大規模施設でも、配線やケーブル支持のためのスタッドを取り付ける際に重宝される技術となっている。
メリットとデメリット
アークスタッド溶接が広く普及している理由は、以下のようなメリットがあるからである。
一方で、溶接条件を正しく設定しなければ欠陥が生じる危険性があり、高電流を扱うために注意が必要でもある。適切な機器やパラメータを用いれば安定した品質が保たれるが、設備投資が一定程度必要になる点も否めないため、コスト管理との兼ね合いが重要である。
必要な装置
アークスタッド溶接の実施には、専用の溶接ガンおよび電源装置が不可欠である。溶接ガンにはスタッドを装填し、アークを発生させるためのメカニズムが組み込まれている。電源装置は、瞬間的に大電流を供給する機能を備え、短時間で効率的に母材とスタッドを溶融できるように制御されている。さらにフラックスやフェライトコアなどを内蔵したスタッド自体が用いられる場合もあり、アークの安定性や溶接部の品質向上に寄与している。これらの装置を正しく組み合わせることで、スパッタの発生を抑えつつスムーズな溶接が行えるようになるのである。
他の溶接法との比較
アークスタッド溶接はアークを利用する点で手溶接などの一般的なアーク溶接法と共通するが、ピンポイントでスタッドを接合するという特性により、作業効率や接合部の外観に明確な違いがある。アーク溶接法では溶加材として棒やワイヤを使用するケースが多いが、本技術ではスタッド自体が接合材料となり、被覆材やシールドガスを必要としないことが多い。またスポット溶接と比較すると、母材側に大きな電極跡が残りにくく、部材の外観を損ないにくい特徴があるとされる。これにより、多数のスタッドを必要とする現場で非常に有用と考えられている。
安全上の注意点
アークスタッド溶接では、高温のアークや高電流を伴うため、溶接作業に適した防護具の着用が重要である。特に溶接ガンからのスパッタが発生する可能性があるので、耐熱性に優れた手袋やエプロン、保護面を使用し、作業環境の安全確保を徹底しなければならない。加えて、高電流が流れる装置を取り扱うため、電気的な安全対策も不可欠である。適切にアースを取り、機器に異常がないか定期的に点検するなど、事前のリスク管理を十分に行うことが望ましい。