鋳型|鋳造工程で使用する成形型

鋳型

鋳型(いがた)とは、溶融した金属を流し込むために使用される型である。鋳型は製品の模型をもとに製作され、その模型は使用する材料により木型金型、樹脂型などに分類される。木型は加工が容易で取扱いが簡単かつ安価という特徴を持つ。一方で、高精度が要求される場合には金型が用いられるが、その製作コストは高い。金型は耐久性や長期保存性にも優れており、鋳肌品質にも影響する。また、樹脂型も存在し、木型金型の中間的な特性を持つことから、幅広い用途で活用されている。

鋳型の種類

鋳型は、溶融した金属を目的の形状に成形するための重要な工具である。主に鋳造工程で使用され、完成品の品質や生産コストに大きく関わる。鋳型の種類は、大きく木型、金型、樹脂型などがある。選定は、製品の精度、コスト、耐久性、用途のバランスを基準とする。一般に試作品や少量生産には木型や樹脂型が適し、大量生産には金型が最適とされる。

木型

木型は、主に試作品や単品製作時に使用される鋳型の一種である。木材は加工が容易であり、比較的安価であることから、手軽に製作できるのが特徴。しかし、耐久性には乏しく、連続生産には向かない。主に短期間での使用や限定的な生産に適している。

金型

金型は、高精度な鋳造が必要な場合に使用される。金属材料を使用するため、鋳型そのものの耐久性が高く、長期の連続生産にも耐えることができる。しかし、金型は製作コストが高いため、初期投資が大きいというデメリットもある。大量生産においては、コスト効率が向上するため、重要な選択肢となる。

樹脂型

樹脂型は、樹脂を用いて製作される鋳型である。金型と比較して低コストで製作でき、かつ木型よりも精度が高い。耐久性は金型に劣るものの、短中期の生産には十分対応可能である。近年では、3Dプリンター技術を活用した樹脂型の製作も進んでおり、試作から少量生産まで幅広く活用されている。

砂型

砂型は、鋳物製作において最も一般的に使用される鋳型である。砂を主材料として鋳型を作るため、コストが低く、大型の鋳物製作にも適している。型の製作が容易で、複雑な形状の鋳物にも対応可能であるが、耐久性が低いため、使い捨てが基本となる。鋳肌の品質は金型に比べ劣るものの、試作品や少量生産、大型部品の製造で広く利用されている。

鋳肌

鋳肌は、鋳型から取り出した鋳物表面の状態を指す。鋳型の材質や仕上げによって、鋳肌の質は大きく変わる。特に高精度な鋳肌が求められる場合は、金型や樹脂型が適している。鋳肌の品質は製品の外観や後工程に影響するため、鋳型選定時に重要な要素となる。

耐久性

鋳型の耐久性は、その材質と使用環境によって決まる。木型は耐久性が低く、繰り返し使用には向かないが、金型は高い耐久性を持ち、長期間の使用が可能である。樹脂型はその中間に位置し、適度な耐久性と低コストを両立している。鋳型の寿命は生産効率やコスト管理にも関わるため、選定時に考慮する必要がある。

長期保存のメリット

金型や樹脂型は、長期保存が可能であることが大きな利点である。特に金型は、同一製品を後日再生産する際に再利用できるため、長期的なコスト削減に貢献する。一方で木型は湿気や摩耗によって劣化しやすく、保存には不向きである。

鋳造尺

鋳造尺は、鋳物製作時に発生する収縮を考慮して使用される特殊な尺度である。溶かした金属が冷却・固化する過程で収縮が起こるため、鋳物は鋳込時のサイズよりも小さくなる。この現象は「縮みしろ」と呼ばれ、鋳物の材質、形状、肉厚、鋳込温度、鋳型の種類によって収縮率が異なる。鋳造物の設計では、この縮みしろを正確に見込む必要があり、材質ごとに異なる収縮率を考慮した「鋳物尺(伸び尺)」を使用して模型を製作する。

縮みしろ

縮みしろは、鋳物の組織や成分に大きく依存する。一般に黒鉛が多く含まれる軟質の鋳物は収縮が少なく、逆にセメンタイトが多い組織の鋳物ほど収縮量が大きくなる傾向がある。鋳物の材質や条件によって異なるが、収縮量のおおよその目安は以下の通りである。

収縮量の目安

材料 収縮率
ベルメタル 1/65
真鋳 1/65
青銅 1/63
鋳鉄 1/96
砲金 1/134
1/92
鋳鋼 1/50
1/64
すず 1/128
亜鉛 1/62

仕上げ代

仕上げ代とは、鋳物に追加工(機械加工)を施す際に、削り取るための余分な厚みを指す。鋳物表面の精度を確保し、必要な寸法に仕上げるために設けられる。仕上げ代の設定は製品の品質や加工の効率に大きく影響を与えるため、十分な考慮が必要である。適切な仕上げ代を設けることで、不良品の発生を防ぎ、作業能率を向上させることが可能となる。

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