鋼の製造工程
原料工程
鉄鋼材料の原料は、鉄鉱石、石炭、石灰石があげられる。陸揚げされた原料はヤードとよばれる備蓄場所に数十日間、野積みされる。効率よく製銑(せいせん)するために、鉄鉱石は石灰石と混ぜて焼き固められる。これを焼結鉱とよぶ。また、石炭は粉の状態で採掘されることが多く、軟らかくもろいため、蒸し焼きにし、適度な大きさに固めたコークスにする。
製銑工程
鉄鉱石は酸化鉄であり、多くの不純物を含んでいる。そのため製銑工程では、焼結鉱とコークスを交互に高炉に投入し、熱風を送り、高炉の中でコークスを燃焼させ、鉄鉱石を加熱・溶融する。この熱で不純物を酸化、燃焼し、分離、除去する。この工程の中で酸化鉄から酸素を除去する。
不純物の除去
石灰石は、鉄鉱石に混ざっていた岩石と結合し、軽いスラグ(不純物が石灰とともに集まったもの)となって溶け落ちる。溶けた鉄とスラグは高炉の下部にたまり、重い銑鉄と軽いスラグに分離する。高炉の下部にたまった銑鉄(C、Si、S、Pといった不純物を多く含むFe)は出銑口から取り出される。
製鋼工程
鋼を生産する工程を製鋼工程といい、転炉という大きな入れ物にくず鉄と銑鉄を入れて加熱する。銑鉄中に多くの炭素が含まれているが、炭素が多いと鋼はもろくなるため、転炉内に酸素を吹き込むことで、余分な炭素を一酸化炭素にして取り除く。このとき、酸素が若干残るが、この酸素を除去する作業を脱酸という。このとき脱酸の程度によりキルド鋼、セミキルド鋼、リムド鋼に分けられる。さらに、高級な材料に仕上げるためにはCのほか、PやSなどの不純物もとりのぞく。
インゴット
製鋼目的の成分に調整の後、造塊し、いったんインゴットにした後、あるいは連続鋳造で直接スラブ(厚板)やブルーム(太い棒)などの形にして出荷する。
リサイクル
スクラップとして回収したくず鉄も利用する。また、くず鉄を主な原料として製鋼する企業もある。