過電圧
過電圧とは、電気回路において通常の動作電圧を超える高い電圧が一時的または持続的に加わる現象を指す。この現象は、雷の直撃や電源の突入、送電系統のスイッチング操作などにより発生することがあり、機器の絶縁破壊や故障の原因となることがある。過電圧は、電子機器や電力システムに重大な影響を与え、機器の損傷や安全性の低下を引き起こすリスクがあるため、過電圧に対する対策が重要となる。サージ保護デバイスや過電圧リレーなどの保護装置を導入することで、過電圧からシステムや機器を守ることが可能である。
過電圧の原因
過電圧の主な原因として、雷の影響、電力系統のスイッチング操作、短絡事故の回復時に発生する過渡現象が挙げられる。雷が送電線に直撃した場合、非常に高い電圧が電力系統に流れ込み、接続された機器に影響を及ぼす。また、電力系統のスイッチを切り替える際には、一時的に高い電圧が発生することがあり、これが過電圧の原因となることがある。さらに、短絡事故が解除された際に系統が通常の状態に戻る際にも、一時的に電圧が急激に上昇することがある。これらの過電圧は、適切な対策が講じられないと電気機器や設備に深刻なダメージを与える。
燃えたFETの原因が電源を開放して過電圧からのOSコンショートモードっぽい。やっぱ丁寧にフィードバック入れよう。 pic.twitter.com/yBjvg0T178
— Di-ma📡 (@analog_2p) December 18, 2023
過電圧の影響
過電圧は、電気機器やシステムに対して重大な影響を与える可能性がある。まず、機器内部の絶縁が破壊されるリスクがあり、これにより機器が故障したり火災が発生することがある。また、電子機器では回路素子が過剰な電圧に耐えられず破壊されることがあり、データ損失や機能停止などの問題を引き起こすことがある。さらに、過電圧による電力系統の不安定性は、送電システム全体に波及し、大規模な停電の原因となることもある。このため、過電圧は電気システム全体の信頼性と安全性に深く関わる問題である。
エアコンが電圧異常エラーのエラーコードが出て使えなくなったから、とりあえずトランス手前の焼けた線剥きなおして端子買ってきてつけといたけど、過電圧かかったであろう原因がわからないのに繋ぎなおして大丈夫なんだろうか、とりあえず元通り冷えるようになった。
危ない橋渡りやね。 pic.twitter.com/ljM1dDjB2r— Ayano (@NatsunoAyano) August 19, 2022
過電圧の対策
過電圧を防ぐための代表的な対策には、サージプロテクタや避雷器の設置がある。サージプロテクタは、一時的に発生する過電圧(サージ)を吸収し、電気機器を保護する装置であり、特に雷による過電圧から機器を守るために有効である。避雷器は、送電線や電力機器に直接雷が流れ込まないようにするために設置される。また、過電圧リレーを導入することで、電圧が異常に上昇した場合に電源を遮断し、設備を保護することが可能である。これらの対策は、特に過電圧の発生が予測される場所や、雷の多い地域での電力設備の保護に効果的である。
#電験三種 地絡保護について
非接地系統で一線地絡事故が発生した場合事故電流が小さく、通常の運用電流以下であるため過電流リレーや方向距離リレーでは事故検出は不可能なので、地絡過電圧リレー、地絡方向リレーにより事故電流を検出できる。 pic.twitter.com/2gEH0jrWdf
— 現場・技術系資格取得のSAT株式会社 広報アカウント (@SAT70887543) November 25, 2021
課題と注意点
過電圧に対する課題として、発生時の検知と即時の対応が挙げられる。過電圧は突発的に発生することが多く、適切なタイミングで対応しないと、機器の破壊やシステムの停止といった深刻な被害を引き起こすことがある。そのため、過電圧検出装置や保護装置の定期的な点検とメンテナンスが不可欠である。また、過電圧が発生する環境要因(雷や電力系統の操作など)は完全に制御できないため、耐圧性の高い機器や回路設計が求められる。さらに、過電圧の発生を未然に防ぐことは難しいため、被害を最小限に抑えるための受動的な保護手段が重要となる。
過電圧と他の電気トラブルとの比較
過電圧は、他の電気トラブルと比較して機器の損傷やシステムの不安定化を直接引き起こす点で特に危険である。例えば、過電流は電流の増加によるトラブルであり、主にヒューズやブレーカーによって制御される。一方で、過電圧は電圧の急激な上昇により絶縁が破壊される可能性があり、過電流と異なり、電圧に対する保護が必要である。また、漏電は電流が意図しない経路を通ることによる現象だが、過電圧は電気の供給系統自体が過剰な電圧を受けることが原因である。これらのトラブルはそれぞれ異なる特性を持ち、適切な保護対策を講じる必要がある。