計量法
計量法は、計量の基準を定め、適正な計量を確保するための日本の法律である。目的は経済の発展と文化の向上への寄与とされている。現行法は平成4年法律第51号として公布され、1993年11月1日に施行された。所管は経済産業省である。国際単位系に基づく法定計量単位、取引や証明に使う計量器の検定、計量士の国家資格、計量証明事業の登録などを定めており、店頭の商取引から工場の品質管理、環境測定まで幅広い分野に関わる。
度量衡からメートル法への移行
日本の計量制度は、1875年(明治8年)の度量衡取締条例に始まる。1891年に度量衡法が制定され、しばらくは尺貫法とメートル法が併用された。1921年の改正でメートル法へ統一する方針が示されたが、反対が根強く、実施は何度も延期された。戦後の1951年に旧計量法(昭和26年法律第207号)が成立し、取引・証明でのメートル法完全実施は1959年1月1日と決まった。土地や建物の表記には猶予が設けられ、移行が完了したのは1966年である。現行法は旧法を全面的に改正したもので、国際規格との整合と規制の見直しが主な目的であった。
法定計量単位と非法定単位の禁止
取引や証明に使える単位は「法定計量単位」として法律で決められている。中心となるのは、長さのメートル、質量のキログラム、時間の秒など7つのSI基本単位である。これに組立単位と、用途を限って認められた単位が加わる。用途限定の例として、海上の距離を表す海里や、宝石の質量を表すカラットがある。法定外の単位を取引・証明に使うと、第173条により50万円以下の罰金の対象になる。2019年5月20日にはキログラムの定義がプランク定数による定義へ改められ、計量単位令もそれに合わせて改正された。
特定計量器と検定
計量器のうち、取引・証明に使われるものや、主に一般消費者が生活で使うもので、正確さの確保が特に必要とされるものを「特定計量器」という。非自動はかり、タクシーメーター、水道メーター、ガスメーター、電力量計、体温計、血圧計などが該当する。これらは使用前に検定を受ける必要がある。検定を行うのは都道府県の計量検定所、産業技術総合研究所、日本電気計器検定所などで、合格した計量器には検定証印が付けられる。メーター類のように検定に有効期間があるものは、期限が来たら交換するか、再検定を受けなければならない。
| 特定計量器 | 検定証印の有効期間 | 主な使用場面 |
|---|---|---|
| タクシーメーター | 1年 | 運賃の計算 |
| 燃料油メーター | 7年 | 給油所での販売 |
| 水道メーター(口径40mm以下) | 8年 | 上水道の料金請求 |
| ガスメーター(使用最大流量16m3/h以下) | 10年 | 都市ガス・LPガスの料金請求 |
非自動はかりの定期検査
取引・証明に使う非自動はかりは、2年に1回、都道府県または特定市が行う定期検査を受ける必要がある。計量士による代検査を受けた場合は、定期検査が免除される。
自動はかりの追加と工場への影響
2016年の施行令改正で、自動はかりが特定計量器に加えられた。対象はホッパースケール、充填用自動はかり、コンベヤスケール、自動捕捉式はかりの4種類で、2017年以降、種類ごとに経過措置を設けて段階的に検定が義務になった。影響が大きかったのは食品工場や物流の現場である。生産ラインのチェックウェイヤで内容量の合否を判定し、その数値を出荷の根拠にしている場合、その装置は「取引・証明」に使われていると判断されることがある。新しいラインを入れるときは、導入前にメーカーと検定対応の型式かどうかを確認するのが確実である。後から検定に対応させようとすると、改造費や立会検査の日程調整で、本体価格の1割前後に当たる追加費用がかかることもある。
指定製造事業者制度
品質管理の体制が一定の基準を満たす製造事業者は、経済産業大臣の指定を受けられる。指定を受けると、検定の代わりに自社で検査を行い、基準適合証印を付けて出荷できる。大量生産される体温計や家庭用ガスメーターでは、この制度が広く使われている。
商品量目制度と量目公差
精米、食肉、灯油などの「特定商品」を、内容量を表示して販売する場合、実際の量と表示量の差を一定の範囲(量目公差)に収める義務がある。例えば食肉などが該当する区分では、表示量が100gを超え500g以下のとき、許容される不足は表示量の2%までである。量目公差を超える不足があると、都道府県による立入検査や勧告の対象となる。工場や店舗で量目管理を適切に行っていると認められれば、「適正計量管理事業所」として指定を受けることもできる。
計量士と計量証明事業
計量士は国家資格で、一般計量士、環境計量士(濃度関係)、環境計量士(騒音・振動関係)の3つの区分がある。国家試験は年1回行われる。工場排水の濃度や、事業所周辺の騒音レベルを測り、その結果を証明書として発行する事業は「計量証明事業」と呼ばれ、都道府県知事への登録が必要である。ダイオキシン類のようにごく微量の物質を扱う分析は、2001年に始まった特定計量証明事業の認定(MLAP)の対象となる。認定の審査ではISO/IEC 17025に沿った品質システムが求められる。
JCSSとトレーサビリティ
現行法の施行とともに、1993年に計量法校正事業者登録制度(JCSS)が始まった。国家計量標準である特定標準器を頂点に、登録を受けた事業者が順に校正を行う仕組みで、国家標準までたどれるトレーサビリティを制度として保証している。JCSSの標章付き校正証明書は国際相互承認(ILAC MRA)の対象となり、海外の顧客監査でもそのまま通用する。ただし一般的な校正と比べると費用は高く、ノギスやマイクロメータなどでは数倍になることも珍しくない。そのため実務では、製品の合否判定に直接使う基準器だけをJCSSで校正し、日常的に使う測定器はその基準器を使って社内で校正する、という二段構えの運用が多い。
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