良識(ボン=サンス)| デカルト

良識(ボン=サンス) デカルト

良識とは、一般には、健全な常識をさすが、デカルトにおいては、物事を正しく判断し、真と偽を識別する能力をさし、理性と同じ意味である。この良識は「この世でもっとも平等に分配されている」ものであり、「よく判断し、真なるものを偽なるものから分かつところの能力」と定義している。真偽の基準が教会にゆだねている時代に、彼はすべてのひとに生まれながらに分配されている理性にその基準を求めた。正しく良識を働かせれば誰もが同じ結論に導かれるとし、これを学問の探究、真理への道筋として捉えている。数学を重視したデカルトの思想や哲学を表している。

『方法叙説』デカルト

良識は、この世でもっとも公平に配分されているものである。というのは、だれもかれも。それを十分に与えられていると思っていて、他のすべてのことでは満足させることがむずかしい人びとでさえも、良識については、自分が持っている以上を望まぬのがつねだからである…よく判断し、真なるものを偽なるものから分かつところの能力。これが本来良識または理性と名づけられるものだが、これはすべての人において生まれつき相等しい。したがって、我われの意見がまちまちであるのは、我われの内のある者が、他の者よりも多くの理性を持つからおこるのではなく、ただ我われが自分の考えをいろいろ違った霊によって導き、また考えていることが同一のことでない、ということからおこるのである。というのもよい精神を持つということだけでは十分ではなく、重要なことは精神をよく用いることだからである。