自工程完結|各工程が品質を保証し、効率と品質を向上する

自工程完結

自工程完結とは、製造業や生産管理において、各工程が自らの責任で品質を保証し、次工程に不良品を流さない仕組みのことである。この考え方は、トヨタ生産方式における「ジャストインタイム」や「自働化」の理念と深く結びついている。自工程完結を実現することで、生産ライン全体の効率化と品質向上が期待できる。

概要

自工程完結の基本的な考え方は、各作業者や工程が自分の作業を自ら管理し、各人がその責任の下で品質を保証することである。工程間を跨ぐような問題を防ぎ、各人が自ら工夫して良しあしを判断し、最終製品まで作り上げるため、製造効率や品質を高めることができる。自工程完結は、特に製造業において重要視されるが、サービス業や他の分野にも適用可能である。

意識改善

自工程完結の効果のひとつは、意識改善である。各作業者が自分の作業範囲内で品質を保証する責任を持つことで、不良品の流出を防ぎ、作業者の品質意識を高める。

品質は工程で作りこむ

自工程完結は「品質は工程で作りこむ」という基本的な考え方の下、品質チェックは各工程で実施され、不具合が見つかった場合、すぐに修正が行われる。これにより、工程間での品質の引き継ぎが確実に行われ、生産全体の流れがスムーズになる。また工程ごとに問題が早期に発見されるため、問題解決のスピードが速くなる。

歴史的背景

自工程完結の概念は、20世紀中盤の品質管理運動の中で発展した。特に日本の製造業において、トヨタ生産方式やリーン生産方式に重要な役割を果たした。

トヨタの「自働化」

トヨタ自動車では、「自働化」という仕事のやり方から自工程完結が発展した。自動化(オートメーション)に対し、人べんを用いた「働」という文字を使っている。自動化(オートメーション)は製作物の品質や設備の異常が起こった場合に、機械が自ら異常を検知して止まり、不良品の発生を未然に防ぐ。「自働化」では、設備から工場スタッフや他部門のスタッフにまで広げ、問題が起こったときに異常を感知して自ら止まり、次の部門にその影響を回さない、そのような組織・仕事のやり方である。

自工程完結の実施

最初に仕事の目的・目標をしっかりと明確化する。その上で、他部署との関連を含めた自分の仕事のプロセスを抽出する。次に、仕事のプロセスを作業の最小単位まで分解し、各個人が納得できるまで詳細化する。分解しリスト化できたら、良品条件と判断基準を誰もが理解できるよう、科学的・定量的に決定する。実際に実務でそれを運用してみる。スムーズに業務が回ることを確認できたら、標準化して社内で共有する。

自工程完結の実施のリスト

  1. 目的・目標の明確化
  2. 他部署との関連を含めた仕事のプロセスの抽出
  3. 仕事のプロセスを作業の最小単位に分解する
  4. 作業ごとに良品条件と判断基準を決める
  5. 実務で運用し、評価する

自工程完結を実現するツール

自己工程完結を実現するポイントは下記のとおりである。

標準作業手順書(SOP)

標準作業手順書(SOP)とは、作業を標準化し、誰が実施しても同じ手順で作業が行えるようにするものである。各工程における作業手順を明確に定義し、統一された方法で実行することを目的とする。

気付きシート

自工程完結は、その仕事の良し悪しをその場で自分で判断し、適切に対応できることが重要である。これを常に意識し、気付きシートを作成して文章化し、各作業の自工程完結状態を確認する。チーム内でフィードバックを行い、改善を図る。

教育と訓練

作業者が自分の工程の自工程完結を管理できるよう、適切な教育と訓練を行うことが必要である。各人のスキルレベルが低いと、後工程に不良品が回るリスクが高まり、チーム間の連携が取れなくなる可能性がある。そのため、自主性やメンバー間の能力差に頼るのではなく、教育マネジメントの一環として計画的に教育・訓練を実施しなければならない。

品質チェックシステム

各工程で品質をチェックし、共有する品質チェックシステムは重要である。これには目視検査、検査装置の活用、統計的品質管理(SQC)などが含まれる。

フィードバックループ

フィードバックループとは、問題が発見された際にその情報を迅速にフィードバックし、原因を特定して改善するプロセスを指す。チーム全体で情報を共有することで、即座に対策や改善を行うことができる。

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