総合的品質管理|組織全体で顧客満足を最大化する

総合的品質管理

総合的品質管理(TQM: Total Quality Management)は、組織全体で品質を最優先に考え、顧客満足を最大化するための管理手法である。総合的品質管理(TQM)は、単なる製品やサービスの品質向上にとどまらず、組織の全プロセスを包括的に見直し、継続的に改善していくことを目指す。そのため、全ての従業員が品質向上に参加し、組織全体の効率性や競争力を高めることが求められる。

総合的品質管理(TQM)

総合的品質管理(TQM)とは、品質保証(QA: Quality Assurance)改善活動(QI: Quality Improvement)、経営管理(Management)に大別される。企業が競争力を保ち、顧客満足を達成するために不可欠な要素である。これらは、それぞれ異なる役割を持たせながら相互に関連づけることで、総合的品質管理のパフォーマンス向上が期待できる。

品質保証

品質保証は、製品やサービスが設計段階から提供段階まで一貫した品質を維持するプロセスである。品質保証は、設計、製造、検査、出荷、アフターサービスのすべてが含まれる。品質保証の目的は、顧客が期待する品質を満たし、不良品の発生を防ぐことである。品質保証は、組織全体で品質基準を確立し、それを守ることを通じて、顧客の信頼を獲得し、企業のブランド価値を維持する役割を果たす。

改善活動

改善活動は、現行のプロセスや製品に対するフィードバックをもとに、継続的に品質を向上させる活動である。これは、単なる品質維持にとどまらず、常により良い結果を追求するプロセスであり、カイゼンやPDCAサイクルといった手法が使用される。 改善活動の目的は、コスト削減や効率化を図りながら、顧客満足度をさらに高めることである。改善活動には、全員(全部門、全社員、前段階)で主体的に関わり、チーム全体で解決策を導き、現場での問題点を迅速に把握し、それを改善するための取り組みが不可欠である。

経営管理

経営管理は、企業の戦略的な目標を達成するために、リソースやプロセスを最適化することを目的としている。品質保証改善活動は、経営管理の中で重要な位置を占めており、組織の持続的な成功に寄与する。経営者は、品質を重視した経営方針を設定し、全社的にそれを推進するためのリーダーシップを発揮し、品質管理システムと統合することで、組織全体のパフォーマンスを向上させる。

総合的品質管理の基本的な要素

総合的品質管理は、いくつかの基本要素から成り立っている。まず、顧客志向が最も重要な要素であり、顧客の期待やニーズに応えることが最優先事項となる。次に、全従業員の参加が不可欠であり、 改善活動のためには全ての階層の従業員が積極的に関与することが求められる。さらに、継続的改善(カイゼン)の考え方が取り入れられており、現状に満足せず、常に改善の機会を探ることが重要である。

総合的(Total)

総合的品質管理には総合的(Toatl)と書かれている通り、全ての部門、全ての社員、すべての段階が品質向上に関与することが重要となる。社員一人ひとりが問題解決に対して責任を持ち、自らの業務の改善点を見つけ出す。このため、社員の教育やトレーニングが重要となる。また、全員が意見を出し合い、チーム全体で解決策を模索するための環境が整える必要がある。

総合的(Total)の範囲
  • 全部門:経営、営業・販売、製造、設計・開発、購買、経理、人事、法務
  • 全社員:それぞれに所属する経営者から一般社員
  • 前段階:調査、研究開発、企画、設計、購買・外注、生産準備・製造、検査、販売、アフターサービス

コンカレントマネジメント

総合的品質管理を目的としたマネジメントをコンカレントマネジメントという。企画から量産体制に移行するまで、初期市場の調査、研究開発、製品の企画、設計、生産準備、購買・外注、製造、検査、販売・保守、さらに財務、人事・今日宇育、法務などの各門も加えて開発を進める方法である。コンカレントマネジメントの下でTQMを行うことで、全部門、全段階で、全社員が、品質保証という共通の目的に向かって実施することができる。TQMには、経営の質を含むあらゆる質をトータルで、総合品質(Total Quality)を管理する活動ともいえる。

品質管理ツールの活用

総合的品質管理の代表的なツールとしては、PDCAサイクル(計画、実行、確認、改善)、フィッシュボーン図(特性要因図)ヒストグラム管理図などが挙げられる。これらのツールを使用することで、問題の原因を特定し、改善策を立案しやすくなる。特にPDCAサイクルは、継続的改善を促進するための基本的なフレームワークとして広く利用されている。

顧客満足度

総合的品質管理の最終的な目標は、顧客満足度の向上である。顧客のニーズを正確に把握し、それに応える製品やサービスを提供することが総合的品質管理の中心に位置している。これには、単に製品の品質を高めるだけでなく、納期、コスト、アフターサービスといった顧客体験全体を改善することが含まれる。顧客からのフィードバックを定期的に収集し、それを基にした改善活動を行うことで、顧客満足度の向上が図られる。

品質コスト

総合的品質管理は、長期的に見てコスト削減につながる。初期段階での品質管理により、後々発生する欠陥品や顧客クレームによるコストを削減できるからである。品質コストの管理には、予防コスト、評価コスト、内部不良コスト、外部不良コストといったカテゴリがあり、これらを最適化することが重要となる。

ISO 9001

総合的品質管理は、ISO 9001などの品質マネジメントシステムの国際基準とも密接に関連している。ISO 9001は、組織が一貫した品質を提供するためのフレームワークを提供し、顧客満足を向上させるためのシステムを構築する基準である。総合的品質管理の考え方を取り入れたISO 9001の導入により、組織全体での品質管理プロセスが標準化され、さらに効果的な品質向上が図られる。