総合判断と分析判断|カント

総合判断と分析判断

総合判断、分析判断とは、ドイツの哲学者カントの認識論に関する重要な用語。カントは人間の判断を分析判断と総合判断の2種類に分類する。分析判断とは、は述語の概念がすでに主語の概念の中に含まれている判断であり、総合判断は述語の概念が主語の中に含まれていない判断である。

総合判断と分析判断

総合判断と分析判断

分析判断と総合判断の違い

分析判断:「すべての物体は延長している」(物体という概念はもともと延長し ているものという意味を持っている)
総合判断:「すべての物体は重い」(物体という概念には重さということは含まれていない)
分析判断は判断としては正しいが、主語概念を分析解明してこれをその中においてすでに思惟されていた部分概念に分けるにすぎず、何等われわれの認識を拡張させるものではない。それ故、学問的認識にとって重要な意味を持つのは総合判断のみである。この点からカントは分析判断を解明判断、総合判断を拡張判断と名付けている。

先験的総合判断

先験的総合判断とは、総合判断の中でもより確実性を持つ入る判断である。というのも、総合判断もそのすべてが真に学問的認識としての意義を有するわけではない。認識は、他方から見ると、経験にその源泉を有するところの経験的認識と経験から全く独立な先験的認識とに分けることができるが、このうち経験的認識は、決して普遍性を持つことができない。

数学の認識

数学の認識は先験的総合的判断である。「7+5 = 12」という命題は、12という概念はわれわれが単に7と5との結合を思惟し たからといってその中に含まれているものではない。
また幾何学の「直線は2点間の最短の線である」という命題もまた、われわれは直線という概念を分析してもそこから最短の線という概念は出てこない。直線という概念はただその線がまっすぐであるという性質を示しているのであり,決してその線が最も短いという量的規定を含んではいないからである。

自然科学

自然科学もその中に先験的総合判断をその原理として含んでいる。「物体界のあらゆる変化において物質の量は一定不変である」という命題は、物質という概念の中にはその量の不変性ということは決して含まれていないから明らかに総合的判断であり、これ等の命題は必然性を有するから先験的である。

形而上学

形而上学は、もともと経験的に与えられないものをその認識の対象とするもので あり、したがって、もしそれが確実な学問として成り立ちうるのであるなら、当然それは先験的総合判断によらねばならない。

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