管
管(パイプ)は流体を送ることを目的とした機械要素で、ポンプやバルブ、タンクをつなぐ重要な部品である。流体には、水・油・空気・ガス・水蒸気などを扱う。管(パイプ)を扱うには、流体の圧力・流量・流速・温度、運転条件、施工条件など様々な要因を考慮に入れなければらない。
管の選定
管は、その中を伝わる流体の温度や圧力、腐食性、その使用される環境ににより、材質や耐圧(肉厚)を選定する。また材質には、金属、プラスティック、ゴムなどがあり、サイズは、中を伝わる流体の設計流量により、段階的に設定された「呼び径」「肉厚」から選定する。
用途 | 種類 |
---|---|
低圧の蒸気、水、空気、油、ガスなど | 配管用炭素鋼管(ガス管) 銅合金管(水蒸気配管は不可) |
給水装置用 | ポリ塩化ビニルライニング 鋼管ポリエチレンライニング 鋼管ポリエチレン 管架橋ポリエチレン 管水道用ポリ硬質 塩化ビニル管 ポリブデン管 |
工業用の蒸気、水、空気、油、ガスなど | 各種配管用鋼管 配管用ステンレス鋼管 銅合金管(蒸気配管は不可) ガス用ポリエチレン管 |
水道排水用 | ダクタイル鋳鉄管 ダクタイル鋳鉄異形管 水道用ポリエチレン二層管 |
管の種類
管は主に鋼管、鋳鉄管、非鉄管、非金属鉄管、ゴム管、たわみ管などがある。
鋼管
鋼管は一般的な配管で、一般配管用、水道管などがある。
鋳鉄管
鋼管に比較して耐食性に優れている。耐食性が必要な水道・ガス・排水管・電信電話ケーブル埋設管などに利用されている。
非鉄管
非鉄管は、加工しやすく熱伝導率が高い利点を生かした管である。電気や熱の伝導性がよい銅管などがその代表である。銅管は熱交換器や化学工業・給湯に使われる。
非金属管
非金属管はポリブテン管や硬質ポリエチレン管があげられる。これらは、耐酸性・耐アルカリ性に優れ、軽くて電気絶縁性がよく、機械加工や接着が容易である。一方で、温度の使用制限などがある。
ゴム管
ゴム管は自由にたわむことができるため、金属管の調整や移動する配管と固定配管の連結・耐震などに利用される。
たわみ管
たわみ管は、耐高温ガス、蒸気、水、油などの配管に用いられ、ゴム管同様、伸縮・振動を吸収させることができる。
管継手
管と管、管と機器をつなぐための継手を管継手という。施工・メンテナンスを簡単にするために用いる。ねじ込み式の管継手やフランジ式の管継手がある。
バルブ
バルブ(弁)とは、管を流れる流体の流れを止めたり、流量や圧力を調整するために用いる。
配管の呼び方
配管用炭素鋼鋼管の呼び方はA呼称とB呼称があり、呼び径の数字のあとにこの記号をつけて50A、2Bというように表現する。また、一部海外ではANSIの規格で作られている場合がある。
呼び径 | JIS | ANSI | |||
---|---|---|---|---|---|
A ㎜ |
B インチ |
通称 | 外径 ㎜ |
㎜ | インチ |
6 | 1/8 | 1分 | 10.5 | 10.3 | 0.405 |
8 | 1/4 | 2分 | 13.8 | 13.7 | 0.54 |
10 | 3/8 | 3分 | 17.3 | 17.1 | 0.675 |
15 | 1/2 | 4分 | 21.7 | 21.3 | 0.84 |
20 | 3/4 | 6分 | 27.2 | 26.7 | 1.05 |
25 | 1 | インチ | 34.0 | 33.4 | 1.315 |
32 | 1 1/4 | インチ2分 | 42.7 | 42.2 | 1.66 |
40 | 1 1/2 | インチ半 | 48.6 | 48.3 | 1.9 |
50 | 2 | 2インチ | 60.5 | 60.3 | 2.375 |
65 | 2 1/2 | 2インチ半 | 76.3 | 73 | 2.875 |
80 | 3 | 3インチ | 89.1 | 88.9 | 3.5 |
90 | 3 1/2 | 3インチ半 | 101.6 | 101.6 | 4 |
100 | 4 | 4インチ | 114.3 | 114.3 | 4.5 |
125 | 5 | 5インチ | 139.8 | 141.3 | 5.563 |
150 | 6 | 6インチ | 165.2 | 168.2 | 6.425 |
175 | 7 | 7インチ | 190.7 | – | – |
200 | 8 | 8インチ | 216.3 | 219.1 | 8.625 |
225 | 9 | 9インチ | 241.8 | – | – |
250 | 10 | 10インチ | 267.4 | 273.1 | 10.75 |
300 | 12 | 12インチ | 318.5 | 323.9 | 12.75 |
350 | 14 | 14インチ | 355.6 | 355.6 | 14 |
400 | 16 | 16インチ | 406.4 | 406.4 | 16 |
450 | 18 | 18インチ | 457.2 | 457.2 | 18 |
500 | 20 | 20インチ | 508.0 | 508 | 20 |
呼び径 | JIS | ANSI |
管の内径
管の内径は、流体の流量と流速で次式で表される。この式から、流速vを大きくすると、管の内径が小さくなる一方で、管路の抵抗が増してエネルギーの損失が大きくなる。
管内平均流速
下記は平均流速の例である。
流体 | 用途 | 流速[m/s] |
---|---|---|
水 | 渦巻用ポンプ吸込管 | 2~2.5 |
水 | 渦巻用ポンプ吐出し管 | 2.5~3.5 |
油 | 油圧装置ポンプ吸込側 | 0.6~1.5 |
油 | 油圧装置ポンプ吐出し側 | 3.0~3.7 |
空気・ガス | 定圧空気管 | 12~15 |
空気・ガス | 圧縮機吸込・吐出し管 | 10~30 |
空気・ガス | 送風機吸込・吐出し管 | 10~20 |
蒸気 | 飽和蒸気管 | 12~40 |
管の肉厚
管に流体が流れるとき、一定の圧力がかかるが、それに耐えうる管の厚さを選ばなければならない。
各種鋼管の機械的性質
種類 | 記号 | 引張強さ[Mpa] |
---|---|---|
配管用炭素鋼鋼管 | SGP | 290以上 |
圧力配管用炭素鋼鋼管 | STPG370 STPG410 |
370以上 410以上 |
高圧力配管用炭素鋼鋼管 | STS370 STS410 STS480 |
370以上 410以上 480以上 |
管の厚さとスケジュール番号
管の厚さについては、SGP (配管用炭素鋼鋼管)と STPX400(配管用アーク溶接炭素鋼鋼管)を除いて、スケジュール (Sch) 番号によって管理されている。
呼び径 | 外径 | 配管用厚さ | 圧力配管用スケジュール(Sch)番号 および呼び厚さ [㎜] |
高圧配管用スケジュール(Sch)番号 および呼び厚さ [㎜] |
|||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A | B | D [㎜] |
t [mm] |
Sch40 | Sch60 | Sch80 | Sch40 | Sch60 | Sch80 |
6 | 1/8 | 10.5 | 2.0 | 1.7 | 2.2 | 2.4 | 1.7 | – | 2.4 |
8 | 1/4 | 13.8 | 2.3 | 2.2 | 2.4 | 3.0 | 2.2 | – | 3.0 |
10 | 3/8 | 17.3 | 2.3 | 2.3 | 2.8 | 3.2 | 2.3 | – | 3.2 |
15 | 1/2 | 21.7 | 2.8 | 2.8 | 3.2 | 3.7 | 2.8 | – | 3.7 |
20 | 3/4 | 27.2 | 2.8 | 2.9 | 3.4 | 3.9 | 2.9 | – | 3.9 |
25 | 1 | 34.0 | 3.2 | 3.4 | 3.9 | 4.5 | 3.4 | – | 4.5 |
32 | 1 1/4 | 42.7 | 3.5 | 3.6 | 4.5 | 4.9 | 3.6 | – | 4.9 |
40 | 1 1/2 | 48.6 | 3.5 | 3.7 | 4.5 | 5.1 | 3.7 | – | 5.1 |
50 | 2 | 60.5 | 3.8 | 3.9 | 4.9 | 5.5 | 3.9 | – | 5.5 |