熱伝導 (伝導伝熱)
熱伝導とは、物質の中で熱が伝わる(移動する)ことで、熱の伝わりやすさには物質によって異なる(熱伝導率)。ガラス板やコンクリートの壁などの平板の熱伝導を考えたとき、それぞれの材質に応じて熱伝導率が異なり、熱の伝わりやすさもまた異なる。また、熱伝導に対流を合わせたものを熱伝達という。
熱流束
熱流束(heat flux)とは単位時間、単位面積あたりに流れる熱である。単位はW/m²といい、熱流束は温度差t₂-t₁に比例し、壁の厚さに反比例する。そのため壁が厚ければ熱いほど、熱は伝わりにくい。
熱伝導率
熱伝導率は、物体の中の熱の伝わりやすさを示す数値である。物質によって熱伝導率が異なり、熱が伝わりにくい物質は断熱保温性能がいいといえ、熱が伝わりやすい物質は放熱性能がよい、といえる。一般に、金属>非金属>液体>気体となる。特に真空状態では、熱伝導率が0となり、断熱効果が日常品(魔法瓶など)に利用されている。
物質名 | 熱伝導率(W/m・K) |
---|---|
銀 | 427 |
銅 | 398 |
金 | 315 |
アルミニウム | 237 |
鉄(純) | 80.3 |
炭素鋼(S35C) | 43 |
ステンレス鋼(304) | 16 |
氷 (273K) | 2.2 |
水 | 0.61 |
水素 | 0.181 |
空気 | 0.026 |
伝熱量
伝熱量は次式で表される。ここでは板厚を想定している。時間が長く、表面積が大きいほど熱は伝わりやすく、板厚が大きいほど熱が伝わりにくくなることを示している。また次式をフーリエ法則という。
多板の熱伝導
板と流体の熱伝導率
多層の板だけでなく、それに接する板の流体(多くの場合、空気)の熱伝導や熱流束を考慮しなければならない。板と流体の間に温度境界層ができる。
温度伝導率(温度拡散率・熱拡散率)
温度伝導率(温度拡散率・熱拡散率)とは、温度の伝わりやすさで、熱伝導率λを密度と定圧比熱Cpで割った値と定義される。この値が大きいほど温度の変化はしやすくなる。
定常熱伝導・非定常熱伝導
- 定常熱伝導:熱の伝わり方が常に一定で、温度分布も時間によって変わらない
- 非定常熱伝導:熱の伝わり方が時間とともに変化し、それによって温度分布が一定でない