溶接の製図
溶接の製図は、溶接記号の矢を用いて表現する。特に溶接構成部材の重なりの関係や溶接の種類と大きさを表す方法として溶接記号は厳密に書かれている。また、組立図のように溶接寸法を必要としない場合には、溶接部位を塗りつぶして指示することもできる。
溶接設計の基本事項
- 使用条件を考慮した法規、基準、示方書の順守
- 荷重条件、施工条件、および経済性を考慮した継手位置の決定
- 継手形式や溶接の種類の選択
- 要求された継手強度からのど厚やサイズと溶接長の決定
- 溶接が与える母材への影響(材料の組織変化、応力の残留、部材の変形など)の考慮
溶接設計の注意事項
- 現場を考え、組立、溶接、検査、補修しやすいかを考える。
- 溶接部分は、最低限に抑え、必要のない溶接をしない。
- 変形や残留応力が集中しないよう、狭い範囲への溶接を避ける。
- 曲げ応力が発生しないような構造にする。
- 応力が集中しそうな場所と継手が重ならないようにする
- 残留応力や変形が問題を起こす場合、低減措置をとる。
- 適切な継手形式、種類、開先を選択する。
溶接記号
溶接施工内容(補助記号、寸法、強さなど)の記入は、矢と基線で表し、それに基本記号を加えて表現する。溶接方法や仕上げ状態、寸法や強さなどそれらを記す。また
二種類の溶接
溶接の種類が二種類の溶接を記す。
開先
開先とは、溶接したときの端部の形を開先という。仕上げることを開先をとるといい、そのときの寸法を開先寸法という。溶接部分が手前の場合は溶接記号は下側、奥の場合は、溶接記号が上側、スポット溶接など両側の場合は上下対称で表現する。
開先の向き
非対称の溶接の場合の開先の向き
非対称の場合は開先をとる面に当て、矢を折って表す。折らない場合はどちらでもよい。
溶接深さ
溶接深さとは、開先溶接において、溶接表面から溶接底面までの距離のことをいう。完全溶接では、溶接深さと板厚とが等しくなる。また、母材間の最短距離のことをルート間隔という。
全周溶接と現場溶接
溶接が全周で行う場合は、〇の記号を付ける。また現場で溶接する場合は、旗印を立てる。
溶接記号(基本記号)
基本的な溶接記号は下記にある。開先の形を表したものや種類を表したものなどがある。
溶接記号(対照的な溶接部)
X形やK形、H形など対称的な溶接部のものは下記で表す。
溶接記号(補助記号)
溶接に対して補助記号は下記である。全周溶接や現場溶接などを記す。溶接の表面形状を指示する場合は、平ら仕上げや凸仕上げを指示し、さらに仕上方法まで指示する場合、グラインダ(G)や研磨(P)まで記入する。
溶接製図の例
溶接の例は下記のように書かれる。
注記
すべての溶接個所に溶接記号を付けるのではなく、注記に「溶接構造のこと」「接合部全溶接のこと」「溶接箇所任意」などと書くことで、加工者判断に任せる方法もある。また、「歪取焼なまし」と記入することで溶接による変形を避ける。