深座ぐり
深座ぐりとは、ボルトやネジの頭部を部品の表面より下に収めるために行う加工である。この加工により、ボルトやネジの頭が露出せず、平滑な仕上がりになるため、機械部品や構造物において美観や安全性を高める目的で行われることが多い。特に、六角穴付きボルト(キャップボルト)や皿ネジなどの頭部が出っ張らないように設計される場面で用いられる。
深座ぐりの用途
深座ぐりは、主に次のような用途に使われる。まず、機械装置や構造物の表面において、ボルトやネジの頭が突出しないことで、他の部品と干渉しないようにする。また、表面を平滑に保つことで、機械的な動作をスムーズにし、見た目の美しさを保つことも可能である。さらに、家具や家電製品などでは、安全性を高めるために深座ぐりが行われ、突起部分による怪我のリスクを低減する効果もある。
【長尺加工機】主に型材やベイク材で使用していますが、今回は長さ2000mmの角材にザグリ穴の加工。治具を上手く使うことで精度を出します。 pic.twitter.com/DWMZoRhOM5
— ㈱ユニアス 枝松@(仮)三代目金属加工屋 (@uni_T_Edamatsu) April 19, 2023
深座ぐりの種類
深座ぐりには、一般的に「円筒座ぐり」と「皿座ぐり」の2つの種類がある。円筒座ぐりは、ボルトの頭が平らな形状をしている場合に行われ、六角穴付きボルトやキャップボルトに使用される。一方、皿座ぐりは、皿ネジのように頭部が斜めになっているネジに用いられ、ネジ頭が完全に埋まるようにテーパー状の座ぐりを施す。どちらの方法も、適切な工具を使用して加工が行われる。
深座ぐりの加工方法
深座ぐりは、専用のドリルやカッターを使用して行う。まず、ボルトやネジの頭部が収まるための穴(座ぐり径)を設け、その後、ボルトの軸が通る貫通穴を開ける。この加工は、通常のドリル加工と異なり、正確な径と深さを設定することが重要である。特に、六角穴付きボルトやワッシャーを使用する場合は、それぞれの厚みや外径に合わせて座ぐりを調整する必要がある。
深座ぐりの設計
深座ぐりを設計する際には、ボルトやネジのサイズだけでなく、使用するワッシャーやスプリングワッシャーの厚み、貫通穴の大きさも考慮する必要がある。特に、強度や耐久性が重要な部品では、座ぐり部分の肉厚が十分に保たれているかを確認することが求められる。座ぐりが深すぎると、周囲の材質が弱くなり、破損のリスクが高まるため、適切な寸法管理が重要である。
六角穴付きボルト用の深座ぐりの目安
六角穴付きボルト+ワッシャーの深座ぐりの目安
六角穴付きボルト+スプリングワッシャー・ワッシャーの深座ぐりの目安
深座ぐりの設計のポイント
ザグリ穴で設計上避けた方が良いのは、端面からはみ出してしまうものや、端面に近すぎるもの。
加工時に変形したり、破れたり、シャープなエッジで危険になったりする。
穴位置を変えない場合の一つの解決例は、中途半端な部分を除去すること。(下図)
他にも良い案があればコメントお願いします。 pic.twitter.com/o5JSUxf7s3— Hiro Torii@機械エンジニア (@mechahirotorii) May 19, 2023
円筒深座ぐりの製図
円筒深座ぐりは、主に六角穴付きボルトやキャップスクリューなどの頭部を完全に沈めるために使用される。製図において、円筒深座ぐりは、通常、以下のように表現される。
皿座ぐりの製図
皿座ぐりは、皿ネジや皿ボルトの頭部を平面に合わせて埋め込むために用いられる。皿座ぐりの製図方法は以下の通りである。
深座ぐりの使用例
深座ぐりは、機械部品、精密機器、航空機、自動車産業、家具などの幅広い分野で使用されている。たとえば、エンジンやギアボックスの組み立てでは、部品の干渉を避けるためにボルトの頭を沈める必要がある。また、家具業界では、見た目を美しく仕上げるために深座ぐりが利用されており、ボルトが表面に出ないようにしてデザイン性を高めている。
深座ぐりの測定と検査
深座ぐりの加工後、正確な寸法に仕上がっているかを確認するためには、適切な測定工具を使用する。デジタルキャリパーや深さゲージなどを使って、座ぐりの径や深さを正確に測定し、設計通りに加工が行われたかどうかを確認することが一般的である。特に、精密機械や重要な構造物では、測定精度が要求されるため、入念な検査が行われる。