旋削
旋削とは、旋盤を使って行う切削加工で、主に丸形状を削り出す加工である。旋盤はバイトと呼ばれる刃物を固定して、工作物を回転させて切削する工作機械である。また、多くは左側のチャックと呼ばれる固定器具に工作物を固定し回転させ、右側に固定させたバイトに当てる。工作物は回転のみで、バイトを前後左右に動かすことで所定の形状に削っていく。フライス加工よりも費用が安い。
旋盤の構造
工作物を回転させる主軸台、中央部はバイト(刃物)を前後左右に移動させる往復台、中央に穴あけを行うための工具 (ドリル)を固定する心押し台がある。通常は、主軸台と往復台のみを使用し、必要な場合には心押し台も併用する。往復台の前後左右の移動は、手動だけでなく自動で送る機能もついている。また細くて長い工作物はたわみやすいため、工作物の右端面の中心に小さな穴(センタ穴)を加工し、この穴に心押し台に保持された先端の尖ったセンタと呼ばれる部品を押し当てることで工作物を支える。 操作にあたっては、変速レバーや送りレバーなどの各レバーを操作する。モータの性能が上がり低速から高速回転まで可能になった。主軸の先端にはチャックが取り付けられ、このチャックにワークを取り付けて切削運動を与える。
旋盤とフライス盤の各部名称とかも全部把握してた pic.twitter.com/x8jV4blKSM
— こうくん (@kokko_rainer) May 23, 2022
旋削の種類
旋削には次の種類がある。回転する円筒形の材料に対して切り込みを入れ、外形を小さくする外周加工、材料の端面形状を整える端面加工、材料を円すい形にするテーパー削りがその代表である。そのほか、穴あけ加工、中ぐり加工、ねじ加工などがある。
旋削の例
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— 【なんとか重工】とんこつ (@nantoka_zyukou) February 28, 2023
外周加工
外周加工は、もっとも一般的な加工方法で円柱形状に削ったり、円柱形状の途中で直径が変わる段付き形状に加工することができる。また、徐々に直径が変わるテーパ加工や曲面加工のほかに、溝を入れたり材料を切り落とす突切り加工がある。
正面加工
正面加工は、工具を工作物の側面に当てることで、正面(端面)の加工を行う。ただし旋盤の機構上、 工作物の右端面しか加工できないため、左端面を加工する場合には、工作物をいったんチャックから外して、左右逆転させることで両端面の加工を行います。 バイトの刃先の高さと主軸の回転中心が同じでないと中心部に削り残しができる。
穴あけ加工
旋削では、右端面の中心位置にドリルで穴あけ加工ができる。最初にセンタドリルでセンタもみしたあと、ドリルであける。穴径はΦ0.5-φ40㎜程度で、中心にしか加工できない。
中ぐり加工
中ぐり加工とは、右端面にドリルであけた下穴に、より大きな直径の穴を空け、さらにバイトで所定の寸法まで削りこむ加工である。バイトのひびり防止からD(穴径)/L(深さ)は3以下が目安である。また、内面溝入れバイトを用いると、穴の内面に溝を加工することができる。
ねじ加工
おねじ加工は工作物の外周におねじ切りバイトで加工する。また、めねじ加工はドリルで穴あけ加工してからめねじ切りバイトで加工する。標準的な三角ねじのねじ山の角度は60度であるため、バイトの先端角も60度となっている。 中心部しかねじを切れない。
ねじ加工の動画
旋盤でタップ立てるだけの動画 pic.twitter.com/Bwg2uuwGzV
— ひげんそん (@RiderHigenson) September 12, 2023
突切り加工
加工した部品には旋盤のチャックのつかみ代部分があるが、突切り加工は、そのつかみ代部分を切り放す加工である。突切りの幅とさはバイトチップの幅で決まる。
ローレット加工
ローレット加工は、部品のつまみなどにギザギザの滑り止めをつける加工で、ローレット模様には平目やアヤ目などの種類があ
る。また、心押台にドリルを取りつけた工作物の端面の穴開け加工もよく行われる。バイトの取りつけ一般的なバイトは、 切削を行う先端部分が工作物の回転中心と同じ高さになるように、 刃物台に取りつけられた取りつけボルトを回して固定する。高さが合わないときは、高さを調節するための敷金を重ねて調節する。いくら切れ味のよいバイトを用意しても、この高さ合わせがずれていると良好な切削ができない。
バイトの種類
旋削に使われる刃物をバイトという。片刃バイトや先丸バイトがある。材料を突っ切って切り落としたり、溝を切ったりする場合に用いられるのが突っ切りバイト、一体型のものや、板バイトを取りつける。溝の幅は3~5mmが一般的で、 回転数を落としてゆっくり切削を進めます。材料の内径を切削する場合に用いられるのが中ぐりバイトで、一体型のものや刃の部分だけを付け替えるスローアウェイ式がある。
旋盤加工の三要素
旋盤加工の三要素として切削速度(N)、刃の送り速度(f)、切削量(t)がある。送りは粗加工の場合、0.2~0.3(mm/rev)、仕上げ加工の場合、0.1(mm/rev)が目安である。なお、切削速度(N)は主軸の回転速度と工作物直径で求められる。ただし、工作物の状態は、工作物やバイトの材質、加工精度、仕上げ面の粗さ (荒削り・仕上げ削り)によって条件が異なる。
回転数
切削速度とは、バイトが工作物を削る速度である。これは1分間に削り取る長さ (m/分) で表される。同じ回転数でも工作物の直径が大きくなるほど、切削速度は速くなる。最適な切削速度を決めてから、工作物の直径を踏まえて回転数を算出する。回転数は1分間に何回転するのかを表したもので、単位はrpm(回転/分)である。端面の加工では外周から中心に向かって削るために、外周近辺の切削速度は速く、削るにしたがって中心部に近づくほど低速になる。加工の効率を考えると、 切削速度は速いほうが良いのですが、バイトの摩耗が激しくなるデメリットがある。
バイトの切込み量
1度にたくさん削るのか、ほんの少し削るのかを決めるのが2つめの加工条件です。バイトが工作物を削り取る際の深さを「切込み量」といい、単位はmmです。切込み量は大きいほどたくさん削れるので、切削回数は減り加工の効率は良いのですが、その反面加工精度が粗くなります。一般に、荒加工では切込み量を大きくし(片側2mmなど)、仕上げでは小さな切込み量(片側0.5mm以下など)で加工します。
バイトの送り速度
いくら工作物が回転しても、工具が進まなければ削れません。 工作物が1回転したときにバイトが移動する距離を送り量といい、単位はmm/回転です。この「送り量(mm/回転)」に「工作物の回転数(rpm=回転/分)」を掛けると「送り速度(mm/分)」に換算することができます。送り速度が速いほど加工の効率はあがりますが、 加工の表面は粗くなります。
表面粗さ
加工した面の表面粗さはノーズ半径(バイト先端の半径)とバイトの送り量(1回転で進む量) で決まる。 切削加工は工具の形状がそのまま工作物に転写されるので、ノーズ半径が大きいほど、また送り量が小さいほどなめらかな面に加工することができる。a図は表面粗さが大きい状態である。そこで、ノーズ半径を大きくした場合が♭図になる。またノーズ半径は同じままでバイトの送り量を小さくした場合がc図である。どちらも表面粗さが改善することがわかります。ただしノーズ半径が大きいと、 切削の抵抗が大きくなり切れ味が悪くなったり、びびりといわれる振動の発生原因になる。
加工精度
切削の加工精度は、寸法精度で±0.02mm、表面粗さは算術平均粗さRa1.6 (旧記号で▽▽▽)である。 (参考値)