新カント派
19世紀後半から20世紀はじめにかけて活躍したドイツの哲学運動。「カントに帰れ」を掲げ、ドイツの観念論を復興しようとした。新カント派は大きく西南学派とマールブルク学派にわかれる。新カント学派は、新しいドイツ哲学だけにとどまらず、カントの著作の研究や出版にも多大なる業績を残したが、第一次世界大戦後は急速に衰えていく。
西南学派
ドイツ西南学派はヴィンデルバンドによって創設され、リッケルトによって発展した。価値哲学と言われる。事実と価値を分け、文化現象をつくる真・善・美・聖という価値の独自の世界を明らかにした。ヴィンデルパンドは、自然科学が反復される普遍的法則を明らかにする「法則定立的」な学問であるのに対して、歴史学は一回限りの個別的な事象についての「個性記述」の学問であると説いた。
マールブルク学派
マールブルク学派のコーへンやナトルプは、認識・意志・感情のもっとも根源的な作用から客観的世界を構成しようとし、経験に先立つアプリオリな純粋認識・純粋意志・純粋感情から、法則にのっとって道徳や芸術などの文化的世界が産出・創造されると説いた。