支持力係数
支持力係数とは、地盤の許容支持力や極限支持力を計算する際に使用される係数であり、地盤の種類や条件、基礎形状に基づいて設定される値を指す。特に建築や土木工学において、基礎構造が安全かつ安定して荷重を支えるために、地盤の支持能力を評価する際に重要な役割を果たす。支持力係数は、主に地盤のせん断強度や基礎形状、荷重条件に依存し、基礎設計の安全性を確保するための基準となる。
支持力係数の種類
支持力係数は、地盤の支持力を構成する要素ごとに以下の種類に分類される:
– **地盤のせん断強度に基づく係数**:基礎の下部で地盤のせん断強度が発揮される程度を評価する。
– **過剰な荷重による形状係数**:基礎にかかる鉛直荷重の影響を反映する。
– **地盤反力の分布係数**:基礎下部での地盤の単位体積重量の影響を考慮する。
これらの係数は、地盤や基礎の形状条件に基づき、個別または組み合わせて使用される。
地盤のせん断強度に基づく係数 Nc
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過剰な荷重による形状係数 Nq
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地盤反力の分布係数 Nγ


『暗記してるやつ絶対いないだろシリーズ』
地耐力算定用の支持力係数 pic.twitter.com/u0pWMB82DV— お兄は建築士 (@momotaros1983) May 14, 2023
支持力係数の計算式
地盤の支持力を計算する際に、テレザギ式やメイヤーホフ式などの式が利用される。以下は代表的な計算式の例である。


支持力係数の影響要因
支持力係数は以下の要因によって変動する:
– **地盤条件**:砂質地盤、粘性地盤、礫質地盤などの種類によって異なる。
– **基礎形状**:基礎が円形、矩形、またはストリップ型であるかに応じて変化する。
– **荷重条件**:偏心荷重や斜め荷重がかかる場合、係数が調整される。
– **地下水位**:地下水が存在すると、地盤の単位体積重量が変化し、係数に影響を与える。
これらの要因を総合的に考慮し、係数を選定する必要がある。
基礎設計における重要性
支持力係数は、基礎設計において次の点で重要な役割を果たす:
– **安全性の確保**:基礎が地盤に沈下しないよう、適切な支持力を確保する。
– **経済性の向上**:過剰設計を防ぎ、コストを削減するための合理的な設計を可能にする。
– **リスク管理**:地盤条件の変動に対応し、設計の信頼性を高める。
これらにより、建築物や土木構造物の安全性と耐久性が確保される。
支持力係数の求め方
支持力係数は、試験結果や経験式を基に算出されることが多い。以下の手法が一般的である:
– **地盤調査**:標準貫入試験(SPT)やベーン試験を行い、地盤特性を把握する。
– **理論式の適用**:地盤条件と基礎形状に応じた理論式を利用する。
– **経験値**:類似地盤や設計条件に基づく経験的な係数を適用する。
これにより、信頼性の高い設計が可能となる。
浅い基礎における極限支持力の諸公式、係数の掛け方次第で拡張できるから意外とシステマチックだな
— しゃけ (@dokozono_syake) February 5, 2025
応用と課題
支持力係数は、建築物の基礎設計だけでなく、橋梁やダムなどの土木構造物設計にも広く応用される。一方で、地盤条件の不確性や試験結果のばらつきによって、係数の精度に課題が残る場合がある。このため、地盤調査の充実や設計者の経験に基づく判断が重要となる。