応力集中
応力集中とは、本来、フックの法則により、一定にかかる応力に対して、材料に穴や切りかけがある場合には、応力の分布は一様ではなく、穴などに局所的に高くなることである。通常、急激に変わるところに応力がかかりやすくなり、急激な形状変化があるところには、Rをとるなどの対策をとるとよい。(穴や長穴、長穴の向きに対する応力集中)
応力集中係数
応力集中係数とは、最大応力を平均応力(応力集中を無視した最小断面)で割った値である。
一様な板への応力集中
断面が一様な板に引張荷重pが作用する場合、板の内部に生じる応力は断面全体に一様に分布する。
穴への応力集中
板に穴が開いている場合、穴の周辺で大きくなり、穴から遠ざかるに従い、応力が小さくなる。平均応力を基準に最大応力は穴にもっとも近いところで、端の方面の応力は平均応力を下回る。
長穴と応力集中の関係
穴や長穴、長穴の向きに対する応力集中については下記の関係がある。下記のモデルから示すように垂直方向に引張力がかかるとき、丸穴を基準に水平方向に穴を長くすればするほど応力集中による破壊が起きやすくなる。一方、長穴を引張力に対して垂直の向きにすることで、丸穴よりもより強くなる。ただし、長穴にしたとき、ボルトの締結力が下がりり、また、わずかではあるが、加工工程が増えることを考慮に入れなければならない。
切り欠きへの応力集中
両端に切り欠きが入っている場合は、切り欠きの底部で最大応力が発生し、中心部分の応力が小さくなる。
各種形状における形状係数
形状係数によって応力集中の度合いを知ることができる。
丸穴
切り欠き
段付き丸棒
破壊原因と対策
急激な形状変化があるところに応力集中が起ることから、繰り返し荷重などの動荷重がおこると、そこから破壊が起る。下記のような対策をする必要がある。
- 切り欠き溝の角度は大きくする
- 角を減らし、Rをとる
- 段付き丸部の溝部分には大きなRをとる