形相 (エイドス) eidos|アリストテレス

形相 (エイドス) eidos

形相(エイドス)とは、事物に内在し、それが「何であるか」を規定する本質。形相(エイドス)は〈見る〉という意味の動詞eidoの過去形eidonに由来する。イデアもエイドスも本来は事物の見られた形や姿という意味であるが、プラトンが個物をこえた超越的な本質をイデアと呼んだのに対して、Cはそのようなイデアの独立性を否定し、個物に内在する本質をエイドス(形相)と呼んだ。現実に存在するのは個々の事物だけであり、個物はそれが「何であるか」を規定する形相(エイドス) と素材となる質料(ヒュレー)から成り立つ。個物は素材の中に含まれた形相を実現するために生成発展し、形相は個物が生成発展の運動を通じて実現するべき目的、その完成態である。

プラトンのイデア論の影響

「・・・彼(プラトン)はただ二種類の原理(アイティア)しか使われなかった。・・・すなわち、もののなんであるか(ト・ティ・エスティン)を示すそれと、質料(ヒューレー)としてのそれとである。けだし、明らかに彼の言う形相(エイドス)は事物のなんであるかを示す原理である」

プラトンのイデア論とアリストテレスの形相

イデアも形相(エイドス)も事物の見られた形や姿、あるいは本質だとされ、ものそのものの理想形といえる。プラトンが「別種の存在者」であるイデアを考えたことに対し、アリストテレスはイデアを物そのものに内在させ、現実世界に引き込んだといえる。たとえば、我々はしばしば、花を見て、美しいという感情をもつ。プラトンによれば、我々は生前にイデア界を知っており、花をみることによって、イデアを想起され、美しいと感じる。一方、アリストテレスによれば、イデア界ではなく、美しさの形相(エイドス)が花そのものに内在し、見たそのもので美しさを感じるのである。