品質
品質とは、製品やサービスが持つ特性や特質が顧客が要求しているレベルに満たすことと定義される。製造業においては、品質は製品の性能や耐久性、信頼性など、製品が設計や規格に基づいて製造されているか、そしてその製品が期待される用途に適合しているかを評価するための指標となる。品質は、そのため、品質=顧客満足度といえ、品質を向上させることが製品の市場競争力を高め、顧客満足を実現するために重要な概念となる。
品質の重要性
品質は、製造業において製品の信頼性や安全性、使用感を保証するために欠かせない要素である。高い品質は製品の寿命を延ばし、メンテナンスや修理の必要性を減少させる。また、顧客の信頼を獲得することで、長期的なビジネス関係を築くことができる。顧客からのクレーム処理をはじめ不良品や不具合が少なくすることで、無駄なコストが削減できる。
品質の種類
品質は製品の各工程で決まる企画品質、設計品質、製造品質がある。各工程で営業・企画部門、開発部門、製造部門が主導的役割を担うが、それぞれが参加して丁寧に進めていき、全体としての品質を高めることで、顧客満足の向上につながる。
企画品質
企画品質とは、企画段階で決まる品質であるコンセプトに盛り込まれる品質で開発の方向性が決まる。普通、営業部門や企画部門が主体となり、この段階で最初に顧客の要求している品質(使用品質)を定め、企画に組み込む。最初の方針を決めるため、開発部門、製造部門、法務部門等の参加が望ましい。
設計品質
設計品質とは、開発部門が主導権を持ち、設計段階で決まる品質のことで、図や製品仕様書で定められる品質である。製品を作る側が目標とするものなので、これらをゴールとして開発が進められる。開発部門が主導的役割を担うが、製造部門も参加し、開発段階で製造を視野に入れたプロジェクト進行が望ましい。
製造品質
品質を製造品質とは製造段階で決まる品質である。開発部門が定めた設計品質の狙いを、製造された製品がそれに適合しているかで評価する。製造部門が主体となり、顧客の要求を満たすかどうかの最後の段階であり、コスト面にも大きく反映する。
保守品質
保守品質(サービス品質)とは顧客に提供したのちにその価値を維持するための品質である。保守部門やサービス部門が中心となるサポートに当たる。販売後のトラブルを解決する役割で、顧客満足度に直結する重要な品質と言える。
品質の損失
品質の不具合や不良が起こると、損失が発生する。機会の損失、応急処置の損失、恒久処置コストの損失である。機会の損失とは、顧客からの信頼の失墜で信頼がなくなると次の仕事を失うことになる。応急処置の損失は、サポートコストからリコールや不良品の交換義務が発生する。そして、今後、同じような問題が起こらないよう恒久対策を施さなければならない。恒久処置コストは不良原因の追究、対策立案、対策実施、その評価のコストが必要である。
品質管理
品質管理とは、自社の製品やサービスの品質を保つために管理を行うことである。主に開発・設計部門や製造部門が主導的役割を担うことが多い。また、品質保証の活動範囲を開発部門や製造部門だけに行うことではなく、企画部門・営業部門、保守サポート部門、法務部門など、企業のあらゆる部門まで広げ、全体として品質管理品質管理
品質管理ツールの種類
- 統計的品質管理(SQC)
- 総合品質管理(TQM)
- シックスシグマ
- リーン生産方式
- PDCAサイクル
品質基準と規格
製造業では、JISやISOで品質基準や規格が決められている。代表的な規格には、ISO 9001(品質マネジメントシステム)やISO/TS 16949(自動車産業向け品質マネジメントシステム)などがある。また、製品の特定の分野に特化した規格も存在し、例えば、食品業界向けのHACCPや医療機器向けのISO 13485などがある。