品質管理|顧客満足度と企業の成功に不可欠な取り組み

品質管理 Quality Control

品質管理とは、製品やサービスを計画生産・販売する上で、製品やサービスの品質を一定基準に確保するための品質管理活動である。英語でQuality Controlと表記されることから、QCやQC活動とも呼ばれる。製造業やサービス業で用いられ、顧客満足度を高める取り組みである。品質管理は、製品やサービスの品質を一定以上の水準に確保して顧客に提供することを目的とする。品質が高い製品やサービスは、顧客の信頼を得やすく、長期的なビジネスの成功に貢献する。逆に、品質管理が不十分であれば、顧客からのクレームやリコールなどのリスクが高まり、企業の評判が損なわれる可能性がある。

品質

品質とは、製品やサービスの性質・性能について、顧客が要求しているレベルを満たすことと定義される。品質管理には、製品の設計段階から生産、最終検査、そして顧客の手に渡るまでの全工程が含まれる。そのため、主に開発部門・製造部門が主導的役割を担うが、その範囲は企画部門、営業部門、保守サービス部門まで幅広い。それぞれの部門で品質管理を行うことで、全体の品質向上とそれによる顧客満足の獲得を果たすことができる。

基本的な枠組み

品質管理の基本的な枠組みは、まずマネージャーやリーダーが目標を設定し、そのうえで目標と現実の差を確認し、その確認項目について適切な改善や対策を行う。これを品質のためのあらゆる工程で実施し、社内全体で品質管理を行う必要がある。

JISの定義

買い手の要求に合った品質の品物またはサービスを経済的に作り出すための手段の体系

品質管理の重点項目

品質管理の現場では、次の7つの項目を重点的に管理している。特にQCDは経営の三大要素で、品質管理活動の中でも機能別管理の中核をなしているものである。

  • Q「Quality」=「品質」
  • C「Cost」=「原価」
  • D「Delivery」=「量・納期」
  • P「Productivity」=「生産性」
  • s「Safety」=「安全」
  • M「Morale」=「士気/倫理」
  • E「Environment/Education」=「環境/教育」

標準化

標準化とは、人によらず同じ質の仕事を行い、同じ品質が出来上がるようにすることで品質管理の基本である。平たく言えば「当たり前にすることで」、マニュアル化やシステム化をはじめ、標準化仕組みを作って維持・管理することが重要である。規格としてはISOJISで決められている。

重点指向

重点志向とは、効果の大きいものから優先順位をつけて取り組むことで品質管理の重要事項である。

品質管理の手法

品質管理の手法には、様々なものがある。改善活動、総合的品質管理統計的品質管理、QC的問題解決法、QC診断、EDER、ばらつき管理、プロセス管理、重点指向などがある。

改善活動

改善活動問題解決活動)とは、品質管理の中で製品やサービスの品質に関する改善(品質改善)をいう。製品それ自体や製造・組み立て工程の改善、管理や事務作業を含めた業務改善がある。改善活動を繰り返すことで、高品質と効率を向上させ、企業は、利潤を確保することができる。日ごろから業務の中で発生するいろいろな問題を解決し、より有効な新しい方法を常に探索する必要がある。

総合的品質管理 TQM

総合的品質管理(Total Quality Management)とは、品質管理を開発部門や製造部門だけなく、全部門で全社員が参加して品質管理を実施する品質管理手法である。総合的品質管理は、製品やサービスを生産してから顧客に渡すまでのすべてフェーズにおいて全組織が実施する体系的な品質管理を目指す。

統計的品質管理 SQC

統計的品質管理(SQC)は、データを分析して製品の品質を評価する方法である。

QC的問題解決法

QC的問題解決法とは、QC活動における問題解決活動の中でQC的な見方・考え方で問題を解決していくことをいう。QCサークルやQC診断に加え、ファクトコントロール、ばらつき管理、重点指向、プロセス管理、再発防止、未然防止、標準化、PDCAサイクルなどの基本的な概念があり、QC7つ道具新QC7つ道具などを使って問題整理や対策を進めていく。

EDER(Early Detection Early Resolution)

EDER(Early Detection Early Resolution)とは、現地・現物による早期発見・早期解決活動を目的とした品質管理活動である。その場で解決することでスムーズに品質管理を行うことができるメリットがある。

ばらつき管理

ばらつき管理とは、製品やサービスによって品質がばらつくことなく、要求される規格の範囲内にばらつき(誤差)管理することである。ばらつき(誤差)には、傾向変化などをみて対策可能な系統誤差やさいころの目のようにコントロールできない偶発的な偶然誤差がある。それぞれに応じた対策を施す必要がある。

プロセス管理

プロセス管理とは、問題を解決するために、問題を生み出しているプロセス(方法、工程、仕事の進め方)を改善しなければいけないという考え方をいい、仕事や仕組みを改善していく管理方法である。「品質は工程で作りこむ」という言葉の下、5M(1人(Man)、2機械(Machine)、3方法(Method)、4材料(Material)、5測定(Measurement))と1E(環境(Environment))を見直し改善することで、品質の向上を測るという考え方である。

再発防止・未然防止

再発防止とは、真因を突き止め、仕組みを改善する方法である。問題発生の要因を、現地、現物、現実に基づいて追究していく。ただし、再発防止は信頼の失墜や対策コストが高いため、問題の発生を事前に予想・防止する未然防止が望ましい。

QCサークル

QCサークルとは、トップダウンによるQC活動に対して、現場で少人数のグループ(サークル)を作り、グループごとに職場で発生するさまざまな問題を解決していく。少人数で活動テーマを決め、自主的にテーマに取り組み、完了すると次の問題に取り組む。

QC診断

QC診断(品質管理診断)とは、品質管理活動全体が計画通りに進めているかの定期的なチェック方法である。QC診断には、社内の人間による社内QC診断と、社外の人間による外部QC診断がある。社内QC診断の場合は、品質管理の担当責任者などが診断者となりQC診断を行う。外部QC診断は、社外のQCの専門家が診断者になる。外部QC診断は、問題点の発見のほかに、自社の品質管理レベルを把握することができる。

品質管理の実践例

多くの企業が品質管理の重要性を認識しており、ISO 9001などの国際規格を取得することで品質管理の取り組みを明確にしている。また、製造業では、トヨタ生産方式(TPS)などの手法が品質管理の一環として広く活用されている。

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