品質工学|タグチメソッドによる品質の改善

品質工学

品質工学とは機能性と安定性を重視した品質改善のための方法論を体系的に整理した学問である。田口玄一氏によって提唱されたことからタグチメソッドや田口品質工学とも呼ばれる。品質工学の目的は管理不可能な製品やサービスを作ることで、品質向上と製造コストの削減を目的としている。設計から製造まで、製品の全ライフサイクルを通じて品質を管理し、品質のばらつきを最小限に抑えることを重視するのが特徴である。

品質工学の基本概念

品質工学の基本概念は、「ロバスト設計」と「損失関数」である。

ロバスト設計

ロバスト設計とは、外部環境の変動や使用条件の変化に対して、製品やプロセスが高い品質を維持できるようにする設計手法である。ロバスト設計がある製品をロバスト性といい、ロバスト性の高い開発が重要である。

損失関数

損失関数は、品質のばらつきが引き起こす経済的損失を数値化するもので、製品の品質が理想からどれだけ逸脱しているかを評価するために用いられる。

主要な方法

品質工学で用いられる方法として、田口メソッド、パラメータ設計、許容差設計がある。

田口メソッド

田口メソッドは、実験計画法を用いて、製品やプロセスに影響を与える要因を効率的に分析し、最適な条件を導き出すものである。少ない実験回数で最大の効果を得ることができるため、コスト削減と品質向上の両立ができる。

パラメータ設計

パラメータ設計とは、品質に影響を与える誤差(ノイズ)に強い安定した設計を行う方法である。製品の品質が環境条件や使用条件に左右されないようにすることを目標としたアプローチである。

許容差設計

許容差設計とは、品質とコストのトレードオフを考えながら設計する方法である。一般に安定した機能を確保しようとすると、製造コストが上がるが、許容差設計ではそれを踏まえ、機能が確保できないことによる損失とコストをはかりにかけながら設計を進める。

SN比

品質工学ではSN比と呼ばれる尺度による解析が行われる。SN比(Signal-to-Noise Ratio)は、品質工学において、信号(有用な情報)とノイズ(不要な変動)の比率を評価するための指標である。SN比は、製品やプロセスがどれだけ安定しているかを定量的に評価し、設計や製造工程の最適化に役立つ。具体的には、「小さくすることが望ましい特性」「大きくすることが望ましい特性」「目標値に合わせることが望ましい特性」の3つの特性に応じたSN比が定義され、それぞれの特性に対して最適な条件を導く

特性値

それぞれの特性値を求めてバラツキの低いものはSN比が低い。

応用例と効果

品質工学は、自動車産業や電子機器製造など、さまざまな分野で応用されている。例えば、自動車のエンジン設計では、外部の温度や湿度の変化に対しても性能が安定するようにロバスト設計が行われている。これにより、製品の信頼性が向上し、クレームやリコールの減少に寄与している。

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