信頼性(工学)|システムや製品の一貫した性能維持

信頼性(工学)

工学における信頼性とは、システム、製品、プロセス、またはサービスが特定の条件下で一貫して保証した機能を果たすことをいう。特に工業やエンジニアリング分野では、製品がその期待される機能を一定期間にわたって維持することが重要視される。その性能が優れており、豊富な機能があっても、耐久性がなく頻繁に故障すれば、信頼性に欠ける製品といえる。

信頼性設計

信頼性設計とは開発部門が中心となって信頼性を作りこむことである。具体的には過去の実績や経験を活用して設計を進める。過去の実績は図面やデータベース、経験者の経験をベースにする。また、新材料や新部品を使う際、できるだけ早く信頼度を保証することが重要である。特に考えうる故障を事前に予測し、それぞれの機能に与える影響を明らかにして対策方法を事前に施す。

信頼性の要素

信頼性は、いくつかの要素から構成される。

  1. 可用性:システムが使用可能である時間の割合
  2. 保守性:故障が発生した際にどれだけ速やかに修復できるか
  3. 耐久性:システムがどれだけ長期間、劣化や故障なく動作し続けるか
  4. 冗長性:故障が発生した際にも機能を維持する
  5. フェールセーフ:故障が発生した際に周囲に影響を及ぼさず機能停止する

目標寿命

設計する製品の寿命を目標寿命といい、企業は目標寿命を最初に設定する。目標寿命は、開始点,代表点,修了点の三点を管理しする。さらに目標とする累積故障率を計算を行い、その製品がもつ寿命が決定される。

信頼性の保証

信頼性の保証とは、故障の少ない製品を保証することで、寿命が長い。故障が少ないといった信頼性の高い製品を流通させる必要がある。一般には、開発部門・製造部門・保守部門が大きな役割を果たすが、企画部門や営業部門などの市場調査も高い信頼性を保証するために重要である。

企画部門・営業部門

企画部門や営業部門は、主に市場調査や顧客情報を集め、信頼性保証活動を行う。顧客のアンケートやクレームを元に故障部分やクレーム部分の情報を開発部門に流す。的確な情報を集め、開発部門に流すことができるかが企業発展のための重要な役割となる。

開発部門

開発部門の信頼性保証の活動として、FTA(故障の木解析)FMEA(故障モード影響解析)PDPC(過程決定計画図)DR(設計審査)が挙げられる。試作をする前に3Dをベースとした解析試験を行い、試作の段階では、信頼性試験を実施し、データの収集と解析を行う。

製造部門

製造部門は製造工程の中で行われる信頼性である。ひとつひとつの部品が信頼性にとって重要なため、問題のある部品が入ってこないか、あるいは問題がある製品が市場に出てしまわないか、各段階でこまめに調査を行う。現場レベルで初めてわかる問題も多いため、開発部門と協力しながら、防止策を検討する。

信頼性・保全性の定量的評価

信頼性を測るものとして、信頼度、故障率、MTBF(平均故障間隔:システムが故障するまでの平均時間)、保全性の尺度としてMTTR(平均修復時間:故障後の修復に要する平均時間)がある。製品やシステムの信頼性を確保するためには、設計段階から詳細な試験や品質管理を行い、これらの指標を組み合わせることで、総合的な信頼性を定量的に評価することが可能である。

信頼性試験

信頼性試験とはその製品の寿命の確認である。現物を使い、その製品が市場の使用環境条件で、目標とする期間、稼働できるか否かを確認する試験である。実施時期は、試作段階と量産試作段階、量産段階に分かれる。試作段階では試作品の製品仕様、機能、信頼性を確認、量産試作段階では、量産工程で製造された製品の信頼性の確認、量産段階では流動品の製造ロットのサンプリング試験である。

信頼性試験の種類

環境試験:温度、湿度、振動などの極端な環境条件下で製品がどのように動作するか
耐久試験:製品を長期間使用した場合にどれだけの劣化や故障が発生するか

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