信頼性ブロック図とは|要素の信頼度を可視化する分析技術


信頼性ブロック図

信頼性ブロック図(以下RBD: Reliability Block Diagram)とは、システムを構成する各要素やユニットをブロックとして表現し、それらの接続関係に基づいて全体の稼働可否を可視化する図である。工学や製造業において、複雑なシステム全体の信頼性ブロック図を描くことで、どのような部分が故障に対して脆弱かを俯瞰できる点が特徴である。RBDではブロック同士のつながり方が非常に重要であり、それぞれのブロックの信頼度や稼働率がシステム全体の信頼度にどのような影響を与えるかを分析する際に用いられる。企業では製造ラインのトラブル予測や、プロダクトが市場にリリースされた後の故障率推定など、多様な分野で活用される。また、信頼性工学の基礎として確率論や統計学の手法とも密接に関連しており、定量的・客観的な評価が求められる領域において非常に有用である。

RBDの基本概念

RBDを導入する際は、まずシステムをどのような規則で分割するかがポイントになる。大きな装置やシステムを複数のブロックに切り分け、それぞれのブロックが持つ信頼度(稼働率や故障率)を見積もることで、システム全体の動作における重要度が見えてくる。ここでいうブロックは、単一の部品を指す場合もあれば、複数のパーツが組み合わさったサブシステムを指す場合もある。どのレベルで分割するかは分析の目的やコスト、解析可能なデータの有無によって変わる。RBDでは、個々のブロックの状態(正常もしくは故障)が全体にどう影響するかを示すため、系列接続か並列接続かを明示的に描くことで、システムの信頼性を算出するための基礎情報を得ることができる。

構成要素と系列系・並列系

信頼性ブロック図では、一般的に系列系(Series)と並列系(Parallel)の2種類の構成が基本要素として挙げられる。系列系は、すべてのブロックが正常に稼働しなければシステムが動かない形であり、1つでも故障が発生すると全体が停止する。一方、並列系は複数のブロックが同時に並列で配置されているため、いずれかが故障しても残りが正常に動作していればシステムは稼働を続けられる。実際のシステム設計では、これら2つの基本的な構成を組み合わせて故障のリスクを分散させることが多い。下記に基本的な特徴を挙げる。

  • 系列系: 故障率が高くなる傾向があるが、コストは低い場合が多い。
  • 並列系: 故障率は低くなるが、コストや設計の複雑さが増す傾向がある。

分析手法の多様性

RBDによる信頼性解析は、ベイズ推定やマルコフモデルと組み合わせることで、より高度なシミュレーションが可能になる。従来は系列系や並列系に単純化されがちであったが、現代の複雑なシステムでは混成構成(シリーズ・パラレル混在)が当たり前になっている。そのため、計算機シミュレーションを活用しながら、故障の確率分布や部品交換時期などを統合的に評価することが重要である。また、障害モード影響解析(FMEA)やフォールトツリー解析(FTA)などとも併用されることが多く、多角的な信頼性評価が行われる。こうした多様な手法を柔軟に使いこなすことで、リスク低減の効率を高められる。

メンテナンス戦略との関連

信頼性ブロック図を活用することで得られる情報は、メンテナンス戦略の立案に直結する。どのブロックがシステム全体の稼働停止リスクを高めているのかを定量的に見極めることで、メンテナンスの優先順位や頻度を最適化できるからである。たとえば系列構成部分で重要度の高いブロックに対しては、予防保全を強化して故障の可能性を事前に低減させるといった対策が考えられる。一方、並列構成部分においては、予備系を追加することで冗長性を確保するなど、異なる視点からの対処が行われる。これらの戦略はシステムのダウンタイムを短縮し、運用コストを削減するうえで極めて有効である。

実際の応用事例

実際の製造現場では、生産ラインを複数のステージ(ブロック)に分割し、それぞれのステージの故障率や停止時間などを把握するために信頼性ブロック図が用いられる。また、大規模な発電プラントや通信インフラのように、停止による損害が大きいシステムでも、RBDがしばしば採用される。たとえば電力系統においては、発電設備や送電網を系列・並列接続に分割し、それぞれの稼働率と故障率を定量化したうえで、予備設備を配分する最適な計画立案が行われる。加えて通信ネットワークでも、複数のルートを並列化することで切断リスクを低減する設計をRBDの考え方を活かして検証している。このようにRBDは多岐にわたる業種で実用化されており、今後もシステムが複雑化する中で、その重要性は増すと考えられる。

  1. 信頼性の可視化と弱点把握
  2. コスト最適化とダウンタイム削減
  3. 多様な解析手法との組み合わせ