リバースエンジニアリング|既存の製品の模倣と改良

リバースエンジニアリング

リバースエンジニアリングとは、ソフトウェアやハードウェア製品の構造を分析し、製造方法や構成部品、動作やソースコードなどの技術情報を調査し、明らかにすることを指す。リバースエンジニアリングは既存製品の分解や解析を通じて、その仕組みや仕様、技術を解明し、製品開発や改良に活用するプロセスである。既存の製品をベースに開発できるため、効率的な商品開発や開発コストの削減に大いに役立つ。ただし、他社製品のアイデアを取り入れながら開発を行うため、法的なリスク管理や対策を十分に行う必要がある。

リバースエンジニアリングのプロセス

リバースエンジニアリングは、設計プロセスの逆を行う手法である。通常の設計工程では、企画部門やクライアントの要求を満たすためにアイデアを図面や3Dモデルに起こし製品を形作る。しかし、リバースエンジニアリングでは、既存の製品や部品を分解し、測定して図面を作成し、その仕組みや仕様、構成部品、技術を明らかにする。製品の詳細な設計情報を取得する。既存の機械・装置が手元にあれば、全く同じものを製作できるため開発効率がよい。

リバースエンジニアリングのメリット

リバースエンジニアリングは、既存技術を参考にしたり組み合わせたりして製品化することで、開発にかかる時間とコストを圧縮できる。開発サイクルが短縮され、他社に先駆けて新製品を市場に投入できる。さらに、開発コストが削減されるため、低コストで提供できる。また、自社製品でも古すぎて図面が残っていなかったり、製造元が倒産して図面が入手できなかったりする場合にも有効である。

コピー製品

リバースエンジニアリングは、他社製品を分解・測定し、まったく同じものを作ることを一時的な目標とするため、コピー製品を作ることと同義であり、不注意に利用すると特許法や著作権法にふれる可能性がある。また、倫理的にも問題がある。試験や研究を目的にリバースエンジニアリングを行い、コピー製品を超えて既存のものをよりよく改良し、独自性を持たせた製品を生み出すことを目標としなければならない。

悪意あるリバースエンジニアリングへの対策

リバースエンジニアリングは開発コストを削減できるため大きな利点があるが、競合他社に自社の製品をまねされると経営的に深刻な問題が起こりうるため、対策を講じなければならない。ハードウェアの場合、特殊ねじやワイヤーを使って分解を困難にする方法や分解すると壊れる仕組みを導入することで解析を防ぐ。ソフトウェアの場合、データの難読化や暗号化によって技術の盗用を防止することが有効である。

ハードウェアのリバースエンジニアリング

リバースエンジニアリングは、ハードウェアとソフトウェアの両方で実行可能である。ハードウェアの場合、CTスキャナーや3Dスキャナー、CMMマシン(三次元測定機)などの機器を用いて製品の内部構造や寸法を測定し、3次元データを取得する。3次元データを用いることで、CADCAEでの性能シミュレーションが行える。

ソフトウェアのリバースエンジニアリング

ソフトウェアの場合、「逆コンパイル」と呼ばれる手法が用いられる。逆コンパイルは、オブジェクトコードをソースコードに変換するプロセスであり、これによりプログラムの意図を理解しやすい。ただし、逆コンパイルは精度が低くなる場合があるため、特別な対策が必要となることもある。

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