ヘラクレイトス|万物は流転する(パンタレイ),アルケーは火

ヘラクレイトス Herakleitos BC540~

ヘラクレイトスは、イオニア地方のエフェソス出身の自然哲学者の一人。孤高の哲学者で「暗い人」と呼ばれた。世界は何からできているのかの質料としての原因、世界がいかにあるのかの調和や秩序の問題に加え、 世界生成のなかの秩序をロゴスと呼び、それを哲学のテーマにした。生成変化と秩序としてのロゴスの二つが同時に問題とされた。万物のアルケーを「永遠に生きる火」と考え、ロゴスが宇宙的規模の火に秩序を与えている。

ヘラクレイトス

ヘラクレイトス

「万物は流転する(パンタ・レイ)」

変化して留まらない面こそが世界の実相という意味である。世界にあるすべてのものは、決して二度と同じ状態にはならない。次々と変化し、生成されていく。循環的な生成変化(火→水→土→火→・・・)この世界の永劫回帰という思想は当時のギリシア人には一般的であった。ヘラクレイトスは大宇宙の経過とともに、燃え尽きて原火に戻り、さらに一定のときをえて再び、形成されると考える。

『クラチュロス』プラトンからの引用

ヘラクレイトスはどこかで万物は動いていて、何ものも止まってはいない、といい、また存在するものたちを河の流れになぞらえて、君は二度と同じ河へは入れないだろうと言っている。

戦いは万物の父

生成変化が行われるには、原因や力がなければならない。ヘラクレイトスは、原因を対立するものの間の戦いと考えた。世界には、対立するものの間の緊張や戦いが生成を促す。生成は対立るものの中間にある。しかし、同時にこの対立・緊張は、調和でもあった。ヘラクレイトスにとって、対立・緊張と調和は表裏の関係にあるのである。相反するものが、調和と考えたのは、ひとつの全体としてみていたからだといえる。

『断片』からの引用

この世界は、神にせよ、人にせよ、これは誰が作ったものでもない、むしろそれは永遠に生きる火として、きまっただけ燃え、きまっただけ消えな
がら、つねにあったし、あるし、またあるだろう。
・・・万物は火の交換物であり、火は万物の交換物である・・・
川は同じだが、その中に入る者には、後から後から通った水が流れよってくる。同じ川に二度はいることは出来ない。

ロゴス(理性)

ロゴスとは対立の中にある調和である。ロゴスはあらゆるものが生じる基準であり、差異いおける共通なものであり、また世界を統轄している。したがって生成を規制する世界法則、生成の規則である(神)といえる。

まず、魂は火であるとされ、不断に変転しているが、乾いているときが最高の状態である。酒に酔うと、子どものようによろめき理性を失うが、それは酒で魂が湿るからである。魂は火である以上、永遠で、万物のはじめをなすものである。さらに、ロゴスに従えば、理性的で最善でありうるのである。

宇宙論

ヘラクレイトスは世界の創造を宇宙論から出発する。土と海から立ち上る火的、水的の二種類の蒸気のうち、前者は宙に浮く小舟状のものにたまり点火して星になる。その中でも太陽は、もっととも清明で、温かである。太陽の小舟に集められた火は夕方には消え、夜中に再び新しく蒸気を集めて作られるから、毎日、新しい太陽を見ているわけである。日食は、この小舟の転覆であるとした。