プラトンの宇宙論
プラトンは宇宙・自然の生成を旧来のテオゴニアにしたがってミュトス的に説明する。
原型である魂と、その似像としての天・時間や動物・人間(生命)の説明
世界は「デミウルゴス(創造者)」によって「パラディグマ(典型)」を基準に作られた。デミウルゴスは、まず宇宙の身体を創造する。火、土、空気、水を幾何学的な比によって、結合したものである。次に、「宇宙の魂(世界霊)」が作られる。魂はは不可分で、つねに同質であるものと、可分的で異質であるものと、両者の中間にあるものの三つの混合である。この魂が宇宙の中にくまなく配置され、宇宙の自己運動が可能になる。さらに、「永遠の一つの似像」としての天と、「一体をなしてとどまっている永遠の、数にしたがってすすむ永遠的な似像」としての時間を造った。ここでデミウルゴスは引退し、後はその子ども達によって推進される。天に住む神・鳥・魚・陸上に歩行するもの・人間などが順に作られる。これらの動物や人間の中に不死の原理である魂が閉じ込められ、動物の運動が可能になる。プラトンはさらに、これらの生成が行われる受け入れる器のようなコーラ(場所と時間)を考える。その中で四つの元素が必然的に相互に変化・結合して、諸物体(金属、石、油、その他)が形成され、物体の変化・運動いよって、知覚が引き起こされる。このように世界はデミウルゴスの理性から来る「必然」の働きによって、生ずる。
特徴
(1)目的論的説明 万物は原型にしたがって作られ、あらかじめ十分の調和が成立している
(2)心的なもの(魂)の優先 魂が物質的なものに運動を起こさせる原因で決して逆ではない
→その後、宇宙説(コスモロジー)に影響