ダイス(工具)|円筒形の棒や管に外部ねじに使用する工具

ダイス(工具)

ダイスは、ねじ切り工具の一種で、円筒形の棒やにねじを切るための工具である。通常、丸いまたは六角形の金属製の工具であり、外周にねじの形状に対応する刃が刻まれている。ねじの規格やサイズに応じて異なる種類が存在するが、通常、大径のおねじ加工は旋削加工が用いられ、小径のおねじ加工にダイスが用いられる。ハンドルに装着して手動で回すタイプや、機械に取り付けて使用するタイプがある。

ダイスの構造と機能

ダイスは、外周にねじ形状の切削刃があり、その内部にねじ切りを行うための穴が開いている。これにより、金属棒やボルトを挿入して回転させることで、ねじを切ることができる。ダイスは、ねじのピッチやサイズ、形状によって多様なバリエーションがあり、メートルねじ、ユニファイねじ、ウィットワースねじなどの標準規格に合わせたものが製造されている。

ダイスの使用方法

ダイスを使用する際は、まず作業対象の金属棒やボルトの端を面取りし、滑らかにする。工作物を万力にしっかりと垂直に固定する。次に、ダイスを専用のハンドルやダイス回しに取り付ける。ダイスは水平に保ち、均等に力を加えながら回転させていく。ダイスの歯が工作物に食い込むまで、ゆっくりと右回転させることが重要である。ダイスが入り始めたら、ダイス回しを1~2回転させた後、半回転程度戻す動作を繰り返しながらねじ切りを進めていく。切削油を使用すると、摩擦を減らし、スムーズにねじを切ることができる。また、作業途中で逆回転を加えることで、切削くずを取り除き、より正確なねじを作ることが可能となる。

ダイス使用の動画

ダイスの種類と用途

ダイスには、丸型ダイスや六角ダイスなどの形状の違いがあり、それぞれの用途によって使い分けられる。丸型ダイスは、ねじ切り作業が精密である必要がある場合に多く使用され、六角ダイスは工具で保持しやすく、手軽に使用できる特徴を持つ。また、ねじの種類に応じて、さまざまなサイズやピッチのダイスが必要になるため、作業に合わせたダイスを選択することが重要である。また、ダイスには、先ダイス、中ダイス、上げダイスといった種類があり、それぞれ用途に応じて使い分けられる。

機械式ダイス

機械式ダイスは、手動ではなく機械に取り付けて使用されるタイプのもので、主に工業用途で大量のねじ切り作業を行う際に使用される。これにより、作業の効率が大幅に向上し、安定した品質のねじを大量に生産することが可能となる。機械式ダイスは、高精度のねじが要求される工業製品の製造プロセスで重要な役割を果たしている。

旋盤にダイスをつけて回転させる加工

ダイスのメンテナンス

ダイスは、ねじ切り作業中に摩耗しやすいため、定期的なメンテナンスが必要である。切削油を適切に使用することや、作業後に切削くずをきれいに取り除くことが、ダイスの寿命を延ばすために重要である。また、使用頻度に応じて、刃の研磨や交換が必要となる場合もあるため、定期的な点検を怠らないことが求められる。

ダイスとタップの違い

ダイスは棒の外側にねじを切るための工具であるのに対し、タップは穴の内側にねじを切るための工具である。両者はねじの加工において補完的な役割を果たしており、ボルトナットのように外部ねじと内部ねじがかみ合う部品を製作する際にそれぞれ使用される。したがって、ねじ加工作業では、適切にダイスとタップを使い分けることが重要である。

タイトルとURLをコピーしました