タキトゥス
タキトゥス(55頃~120頃)は、ローマ帝国で活躍した歴史家・政治家である。主著は『年代記』『ゲルマニア』。思想的には共和政をたたえ、帝政を批判、ローマの政治社会の欠陥を指摘している。
生涯
ローマ帝国のネロの時代の初期に南フランスで生まれた。騎士身分の家柄にもかかわらず首都では元老院を務めた。97年、40歳のころにコンスルに就任、112年、アシア州知事に着任。公務の傍ら岳父の伝記『アグリコラ』およびドイツの風土と民族を論いた『ゲルマニア』を公刊した。
『ゲルマニア』
『ゲルマニア』(Germania)タキトゥスが著したゲルマン民族誌である。素朴で勇敢なゲルマン社会を描くことで、ローマ社会に警告を与えようとしたと言われている。カエサルの『ガリア戦記』とともに、古ゲルマン研究の最重要史料とされる。
『年代記』
『年代記』は、タキトゥスの著作である。アウグストゥスの死からネロの死まで14ー66年のローマの政治史を記述した。共和政への共感を読み取ることができる。
『歴史』
『歴史』全一二巻は六九年以後の出来事を扱っているが、第五巻の途中までしか残されていない。皇帝ネロの死後の出来事を扱っており、69年は三人の元首に殺された激動の時代であった。