セラミックスの種類|用途と特性に応じた多様な無機材料

セラミックスの種類

セラミックスの種類は、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)などに代表される。これらのセラミックス材料は、それぞれ異なる特性を持ち、耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性、機械的強度などの優れた性質を持っており、多くの工業用途で使用されている。例えば、シリカはガラス製造に、アルミナは電子部品や耐摩耗部品に、ジルコニアは医療用インプラントに、炭化ケイ素は半導体基板や高温用部品に、窒化ケイ素はエンジン部品やベアリングに利用されている。

シリカ

シリカ(SiO2)は実用ガラスや光ファイバーとして使われる。機械材料としては、イオン交換をさせて表面に圧縮応力を作り出した強化ガラスや熔解シリカなどが知られている。強化ガラスは、優れた機械的強度と耐衝撃性を持つため、自動車用ガラスや建築用の窓ガラスなど幅広い用途で利用されている。光ファイバーとしてのシリカは、高い透明性と低損失を持つため、通信ケーブルとして重要な役割を果たしている。

アルミナ

アルミナ(Al2O3)は、強い化学結合を持つイオン性結晶であるので、化学的にも物理的にもきわめて高い安定性を持つ。製造しやすいために比較的安価であり、耐熱性、高硬度、耐食性、生体適合性などに優れた特性を持つ代表的なセラミックスである。アルミナセラミックスは、耐熱、耐食、電気絶縁部品として使用され、IC基板、半導体製造装置、耐火物、点火プラグなどに幅広く使われている。また、その生体適合性から医療用インプラントにも利用されている。

ジルコニア

ジルコニア(ZrO2)はイオン性結晶であり、高い融点を持ち、耐熱性と高強度を有する。MgOやY2O3を添加してすべての温度範囲で立方晶にしたものが安定化ジルコニアである。MgOやY2O3の添加量を抑制して破壊靭性を向上させたものが部分安定化ジルコニアであり、これにより靭性が高まる。部分安定化ジルコニアは、アルミナ系よりも高強度・高靭性を持つが、鉄系合金に対しては摩耗しやすいという特徴がある。ジルコニアは、高耐久性を必要とする工具や義歯などの医療用材料として利用されている。

炭化珪素

炭化珪素(SiC)は、物理的にも化学的にも非常に安定しており、高硬度、高温高強度、耐食性などの優れた特性を持つ代表的なセラミックスである。炭化珪素は研摩・研削材料としての用途があるほか、高い熱伝導率と低い熱膨張係数を持つため、耐熱衝撃性にも優れている。炭化珪素は、耐摩耗性部材、発熱体ヒータ、電極、常圧焼結によるメカニカルシール、軸受など多様な用途で使用されている。また、その高い熱伝導性から、電子デバイスの冷却材料としても注目されている。

窒化珪素

窒化珪素(Si3N4)は共有結合性の強い結晶で、物理的にも化学的にも非常に安定している。電気的に絶縁体であり、熱伝導率が低い点が炭化珪素(SiC)と異なる大きな特徴である。セラミックスの中でも、高温における強度や靭性、耐熱衝撃性に優れ、エンジン部材やタービン部材としての利用が検討されている。射出成形によってロータを成形し、金属シャフトとロウ付けして製造するターボチャージャーロータや、セラミックボールを使用したボールベアリングにも使用されている。また、サイアロン(Si-Al-O-N)を含む窒化珪素系工具は高強度・高靭性、耐熱衝撃性に優れており、超耐熱合金などの難切削材の加工に適しているが、鉄系合金の加工にはSiがFeと反応するため不向きである。

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