スペンサー|哲学,思想,社会学,進化論,社会進化論,道徳感情

スペンサー Herbert Spencer

スペンサーは、イギリスの哲学者•社会学者。社会進化論を唱え、国家の干渉を拒否するレッセフエ—ル主義者。主著は『総合哲学体系』。進化論を道徳や社会に適用して総合的な学問 体系を確立し、ダーウィンの進化論と共に19世紀後半に大きな影響を与えた。人間の道徳的素質は、先祖から獲得されて伝えられたもので、利己的感情から利他的感情へと進化するという、進化論的倫理説を説く。生物のたねが環境に適応するように、個人は社会生活に適応し、やがて個人と社会の対立が解消して国家が解体し、個人の完全な自由が実現する人類の進化の理想的段階が訪れる。また、社会有機体説の立場から、強制的な軍事型社会から自発的な産業型社会へと進化するという社会進化論(社会ダーウィニズム)を説き、産業型社会を当時の19世紀のイギリス資本主義社会に見出した。

スペンサー
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目次

スペンサーの生涯

スペンサーはイギリスのダービーに生まれた。若いころ大学へ入学することを拒み、地質学の研究から進化の概念を社会に適用し、1850年『社会静学』を著した。次いで、あらゆる有機体の発展が同質から異質への変化の法則を含むことを知り、『発展の仮説』において進化と創造を比較した。その後、晩年に至るまで研究.著作は哲学および諸科学の一大総合体系をなした。

総合哲学

総合哲学は、進化の法則を生物学、心理学、社会学、倫理学などの各個別領域に適用した、総合的な学問といえる。

社会進化論

スペンサーは、ダーウィン進化論を人間社会にも適用しようとし、天体の現象から社会の現象に至るまで、すべての領域を進化の原理で説く社会進化論を唱えた。進化とは不確定で非凝集的な等質状態から霊的で凝集的な異質状態への移行過程であり、天体や精神をもった有機体を経て超有機体としての社会にまで共通する普遍的プロセスであるとした。

スペンサー
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軍事型社会から産業型社会へ

社会の進化は、軍事型社会から産業型社会へと進む。前者では個人は全体のために存在し、自由は抑圧され、強制的協力が支配的だが、後者では、社会は個人のために存在し、相互に平等な個人の自由が実現される。この観点からスぺンサーは、近代資本主義社会を平等な自由の法則の実現形態とみなした。

道徳的感情

道徳的感情は祖先から受け継がれた資質で、利己的感情から利他的感情へと進化するという進化論的倫理学を説き、人間社会を有機体ととらえ、人類の社会生活への適応能力の進化とともに、社会は軍事型社会から産業社会へと進歩して、やがて人為的規制をまったく廃した完全な自由の実現する無政府状態が出現するとした。この考え方は進歩史観の提起として、歴史家や人文・社会科学全般に大きな影響を与えた。


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