ストレーナ
ストレーナは配管内の固形異物を金網や穿孔板で捕捉し、ポンプ、バルブ、流量計、熱交換器などの機器を保護する要素である。水、冷温水、油、溶剤、蒸気、圧縮空気など幅広い流体で用いられ、据付初期のスケールや錆片、運転中に混入する砕片・パッキン片・溶接スパッタ等による目詰まりや機器損傷を防止できる。代表的な形式にはY型、T型、バスケット型があり、必要流量、圧力損失、捕捉粒径、清掃性、設置姿勢、配管接続方式によって最適構造を選定する。
構造と種類
ストレーナの基本要素は「本体ケーシング」「スクリーン(網・パンチング板)」「カバー(蓋)」「差圧抜き・ブローオフ口」である。Y型は本管から斜めに枝が出るコンパクト構造で小〜中口径に適し、T型は本管と直交する容腔にスクリーンを収め中〜大口径に用いられる。バスケット型は大きな捕集容積を持ち、長時間運転や固形負荷が比較的多い用途に適する。二重バスケット型は運転継続のまま片側を清掃できるため連続プロセスに有利である。
- Y型:省スペース・軽量でメンテ容易。蒸気や水系で普及している。
- T型:流路が直交するためスクリーン面積を確保しやすい。
- バスケット型:大容量捕集と低い初期ΔPを両立しやすい。
- ブローオフ口付:運転中に底部からスラッジを排出でき、清掃間隔を延ばせる。
原理と性能指標
ストレーナはスクリーンの開口面積比と有効面積が圧力損失(ΔP)を支配する。初期ΔPは流量と粘度に依存し、目詰まりの進行でΔPが上昇する。スクリーンの等級はmesh(番手)やμm表記で示され、捕捉したい最小粒径よりやや粗めを選ぶのが通例である。弁や器具と同様にCv/Kvで通流性能が示される場合もある。運用上は差圧計や差圧スイッチで清掃時期を判断すると信頼性が高い。
適用分野と用途
水処理・上水給水、ボイラ給水、蒸気トラップ上流、冷凍機・空調の冷温水、油圧・潤滑、化学プロセス、染色・紙パルプ、食品・飲料の前処理、圧縮空気の粗ろ過などに広く使われる。とりわけポンプ吸込側ではキャビテーション余裕(NPSHマージン)を損ねぬよう初期ΔPが小さく、十分な有効面積を持つ型式を選ぶことが肝要である。
選定の手順
- 流量・粘度・比重の把握:運転点と最大流量でのΔP目標を定める。
- 粒度・固形負荷の推定:メッシュ/μmを仮設定し、開口面積比を確認する。
- 材質選定:鋳鉄、ダクタイル、SUS304/316、黄銅、PVC等を腐食性・温度で決める。
- 接続方式:ねじ、フランジ、溶接端から配管仕様に適合させる。
- 圧力温度定格:JIS10K/20KやPNクラスと最高温度に適合させる。
- 保守性:スクリーン引抜き方向、作業空間、隔離バルブ配置を検討する。
設置と保守
流向矢印に従い、スクリーンの沈降部が下向きとなる姿勢で据付ける。ポンプ吸込側では吸込抵抗を抑えるため粗目スクリーン・大面積型を基本とし、起動直後は目詰まりしやすいので差圧監視を強化する。ブローオフ付は堆積スラッジを定期排出でき、清掃サイクルが延長できる。カバーはガスケットで密封し、所定トルクでボルト締結する。再組立後は漏れ検査とΔPの初期値確認を行う。
- 差圧計の設置:上流・下流にタップを設け目詰まり進行を把握する。
- バイパス:停止できない系ではバイパスラインや二重バスケットで連続運転を確保する。
- 清掃:スクリーンは逆洗・ブラッシングで付着物を除去し、破れや座屈を点検する。
トラブル事例と対策
- 頻繁な目詰まり:メッシュが細かすぎる、固形負荷が想定以上。粗目化や前段スラッジポット追加で対処する。
- スクリーン破損:差圧過大や異物衝撃が原因。差圧アラーム設定とスクリーン補強で予防する。
- 吸込側でのキャビテーション誘発:ΔP超過がNPSHを圧迫。より大面積型式への変更や設置位置の見直しを行う。
- 漏えい:カバーガスケット損傷や締結不良。規定トルク管理と面荒れ修復で改善する。
規格・表示
ストレーナ本体には呼び圧(例:JIS10K)、呼び径、材質、製造番号、流向が標記されることが多い。スクリーンはパンチング板+金網の複合が一般的で、meshやμmで目開きが示される。衛生用途では死角部の洗浄性、表面粗さ、ガスケット材質の適合が要求される。高温・高圧や腐食環境ではSUS316や耐熱鋼、フッ素樹脂ライニング等が選択肢となる。
メッシュ番号と粒径の目安
- 20 mesh ≈ 840μm、40 mesh ≈ 400μm、60 mesh ≈ 250μm、80 mesh ≈ 180μm、100 mesh ≈ 150μm(目安)
- 同じmeshでも線径や開口率で実効差が生じるため、実機ΔPと捕捉性能で評価する。
設計チェックリスト
- 初期ΔPと許容ΔP、清掃トリガ差圧の設定
- スクリーン有効面積比と固形負荷の見積もり
- 隔離バルブ位置、差圧計・ドレン・ブローオフの配管
- 清掃時の安全手順(圧力解放、温度低下待ち)と予備スクリーンの準備
材料選定の要点
- 水・冷温水:鋳鉄/ダクタイルが一般的。腐食性や水質でSUSを選ぶ。
- 塩水・薬液:SUS316や樹脂系(PVC、FRP)を検討する。
- 蒸気:耐圧・耐熱の余裕を取り、熱疲労とシール材の適合を確認する。
フィルタとの使い分け
ストレーナは再生清掃を前提とした粗ろ過・保護用で、主に数百μm〜数十μmの領域を対象とする。一方、精密ろ過や品質管理が目的のカートリッジ式・メンブレン式フィルタはより微細粒子まで対象とする。工程の前段でストレーナを設け、後段の精密ろ過の負荷を減らす直列配置が一般的である。
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