イドラ|ベーコン,臆見

イドラ idola

イドラとは、物事を正しく認識することを妨げる偏見や先入観をいい、ベーコンの言葉である。もともとはラテン語で偶像・幻影を意味する。人間が正しい認識に到達するためにはイドラにとらわれること無く、経験に基づいた普遍的・客観的真理を獲得しなければならない。なお、ベーコンは、イドラを四つに分類した。種族のイドラ、洞窟のイドラ、市場のイドラ、劇場のイドラである。

種族のイドラ

種族のイドラとは、人間という種族に共通する感覚や精神の自然的な制約に基づく偏見である。人間の不完全な精神や感覚を通して歪められた事物の姿を、事物の本性と取り違える誤りである。たとえば、感覚の錯覚や思い違いや、擬人的な自然観などである。

「人間という種族ないし人類が知覚において眼前に存在するものを歪曲する傾向にあるという事実から生じる」

洞窟のイドラ

洞窟のイドラとは、個人の性向・教育・環境に由来する、狭い考え方から生まれる偏見である。洞窟の中に閉じ込められて、自然の光をさえぎられた状態にたとえたものをいう。

市場のイドラ

市場のイドラとは、人間の交際の中で不適切に使われた言語から生まれる偏見であり、ベーコンの言葉を借りると、「言葉の悪い選択ないしは不適切な選択が知性を驚くほど曇らせ」、人々を「無数の空虚な論争や無意味な幻想」へと導く時につくられる。人びとが集まる市場で、誤ったうわさが流れることにたとえた。

劇場のイドラ

劇場のイドラとは、伝統や権威をうのみにし、誤った学説や教えを盲信することから生まれる偏見。「非現実的で舞台のような流儀で人間自身が創造した世界を表すたくさんのお芝居」に例えられている。

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