イスラム教|アッラー,コーラン,六信五行,イスラム法,モスク

イスラム教

イスラム教(Islam)は、7世紀の前半に預言者ムハンマドによって開かれた。『コーラン』を教典とする。イスラムとは服従を意味し、唯一神アッラに服従し、その教えを守ることをあらわす。人はアッラーの下に平等であるとする宗教である。キリスト教仏教とともに世界三大宗教のひとつである。

Islam

Islam

イスラム教の歴史

7世紀の前半、イスラム教はムハンマドによって開祖された宗教であり、アラビア半島から全世界に広まった。もともと商人の出身であったムハンマドであるが、40歳の頃、瞑想していたときに神からの啓示を受けた。貧富の差が拡大する当時のアラブ社会において、比較的裕福な暮らしをしていたムハンマドであったが、イスラム教を広めるための普及活動を行う。唯一神アッラーへの信仰や身分や経済格差にかかわらない万人の平等を説くムハンマドは当時の多神教を中心とする宗教世界や貧困層を必要とするアラブ経済にとって不都合な存在であった。迫害にあい、一度はメッカに追われるものの、ジハード(聖戦)での勝利を繰り返し、ついにアラビア半島を政治的にも経済的にも掌握することに成功することになる。ここにおいて部族間の衝突が繰り返されていたアラブ社会がイスラム教の下に統一される契機となった。ムハンマドは632年に病死するが、彼の死後、その後、カリフ(指導者)が選出され、組織的に運営されることなる。4代カリフ、アリーまでの時代を正統カリフ時代と呼ぶ。アリー喑殺とともに正統カリフ時代は終わりを迎え、661年にウマイヤ朝が成立した。ウマイヤ朝成立の過程でイスラム教は、スンナ派とシーア派に分裂した。イスラム教は、その後多くの国家の衰退をへながら発展し、現在では13億人を超えるの信者をもち、キリスト教、仏教と並ぶ三大宗教の一つとなった。

アッラー

アッラーは唯一神の神である。ユダヤ教キリスト教と同じ人格神で、世界を創造した創造神アッラーは、この世の終わりの日には、最後の審判を行い、人間を天使の記録した生前の行いに従って天国と地獄にふりわける。あまりに絶対的存在であるため、偶像崇拝は厳しく禁じられている。キリスト教のような神の子や救世主といった存在も認められていない。

『コーラン』

『コーラン』はイスラム教の聖典で、天使ガブリエルを通してムハンマドに啓示された神の言葉を集めた。スラム法の根拠として、信仰共同体 (ウンマ) にとって絶大な力を持つ。聖俗を区別せず、信仰における万人の平等を強調し、他の宗教に多く見られる特別な聖職者(祭司) は存在しない。

(ユダヤ教キリスト教に)言ってやるがよい。お前たち、アッラーのことで我々と言い争いをしようというのか。
アッラーは我々の神様でもあれば、お前たちの神様でもあるものを。
我々の所業はすべて我々のもの、お前たちのすることはみんなお前たちのもの。
我々が誠の限りをつくしておつかえ申すのはアッラーのみ。

イスラムの祈り

イスラムの祈り

予言者

予言者は、霊感によって神より預けられた言葉を伝える者である。『コーラン』では28人の名があげられ、なかでもユダヤ教のアブラハムやモーセ、キリスト教のイエスが高く評価されているが、ムハンマドこそ最終にして最高の預言者であるとしている。

六信五行

六信五行とは、イスラム教の基本的教義である。

六信

神・・・アッラー
天使・・・ガブリエル
聖典・・・『コーラン』
預言者・・・アブラハムをはじめ、アダム、モーセ、イエスなど
来世・・・神の最後の審判によって、人間は生前の行いに従って天国や地獄に振り分けられる。
天命・・・この世の一切が神アッラーの意志のもとに。

五行

信仰告白(シャハーダ)・・・「アッラーをおいて神はなし。ムハンマドは神の使者なり」ととなえる。
礼拝(サラート)・・・1日5回メツカに向かって、定められた手順により行う。
断食(サウム)・・・ラマダーン (断食)月の日中に、一切の飲食を断つ。
喜捨(ザカート)・・・イスラムの救貧税。貧者に対して資産に応じた施しをする。
巡礼(ハッジ)・・・一生に一度メッカのモスクに巡礼する。

六信五行:コーランからの引用

「われらはアッラーを信じ、われらに啓示されたものを、またイブラーヒームとイスマイールとヤアクープブ(イスラエルの十二)支族に啓示されたものを、またムーサー(モーセ)とイーサー(イエス)に与えられたものを、またすベての予言者〔預言者〕たちに神様から与えられたものを信じます。われらは彼らの間に誰彼の差別は致しません。われらアッラーに帰依し奉ります」と。

こうして見ておると、お前(マホメット)は(どっちを向いてお祈りしていいのか分らなくなって)空をきょろきょろ見廻している。よい、か、お前の顔を聖なる礼拝堂(メッカの神殿)の方に向けよ。汝ら、何処の地にあろうとも、必ず今言った方角に顔を向けて祈るのだぞ。

コーランが、人々のための(神からの)御導きとして、また御導きの明らかな徴として、また救済として啓示された(神聖な)ラマザン月(こそ断食の月)。されば汝ら、誰でもラマザン月に家におる者は断食せよ。但し丁度そのとき病気か旅行中ならば、いつか別のときにそれだけの日数(断食すればよい)。

ユダヤ教とキリストとの関係

ムハンマドが最後にして最大の預言者とされるが、アダム、ノア、アブラハム、モーセ、そしてイエスもまた預言者とされている。もちろん、それに応じて、神が預言者モーセに下した律法(『モーセ五書』)や『福音書』(『新約聖書』)なども「啓典」(聖典)として認められている。(なお、『コーラン』に完全な教えが記されている。)また、ユダヤ教徒やキリスト教徒もまた「啓典の民」と位置づけられている。

最後の審判

最後の審判とは、神がこの世の終末にすべての人を善人と罪人に振リ分けること。

イスラム法

シャリーアと呼ばれ、宗教的儀礼から刑罰、結婚、相続、子どものしつけなど、日常生活全般を含めたイスラム教徒の守るべき掟を体系化したもの。

モスク

モスク

モスク

モスクとは、イスラム教の礼拝堂。イスラム教徒は金曜日に集まり、メッカの方向に向かって礼拝を行う。イスラム教では偶像崇拝が禁止されているため、祈りの対象となる物がないことが特徴である。

ウンマ

ウンマとは、ムスリムの共同体およびイスラム国家である。ムハンマドがメディナへ移住後、彼に率いられた信徒の共同体として成立した。共同体内に正義を実現し、共同体をより発展させることを目的としている。

ムスリム

ムスリムとは、イスラーム教徒のことで、「神に身を捧げた者」を意味するアラビア語である。

ラマダーン

イスラーム暦第9月。断食月にあたる。

イスラーム暦

イスラーム暦(ヒジュラ暦)とは、ヒジュラと呼ばれる遷都が行われた西暦622年7月16日を、アラビア暦1月1日(紀元元年1月1日)とする太陰暦である。1年を354日、1カ月を29日か30日とし、1年は12カ月で閏月をおかない。なお、ヒジュラとは、ムハンマドがクライシュ族の迫害を避けるため、メッカを追われメディナに逃れた事件である。

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