アルミニウム|さびにくく軽く丈夫な非鉄金属

アルミニウム

アルミニウムは軽くて丈夫な非鉄金属であり、その合金の種類も豊富である。鉄に比べて安価で、生産量も全世界10数億トンにのぼる。99.5%以上のアルミニウムを含有する純アルミニウムと、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)などの合金元素を含有するアルミニウム合金があり、用途によって使い分けられている。その利用分野は、アルミ缶、アルミ鍋、アルミサッシから自動車や鉄道車両、航空機まで日常の多岐にわたる。アルミニウム(Al)の重さは、同じ体積の鉄(Fe)や鋼の約1/3の軽さであり、展延性に富む。またアルミニウム(Al)に他元素を添付することによって機械的性質を改善したアルミニウム合金も一般的に使われている。

アルミニウムバイク

アルミニウムの歴史

アルミニウムは、地球では、最も豊富な金属のひとつである。結合力の大きい化合物として地中に存在しているため、長く金属材料として利用されにくい状況にあった。1807年、イギリスのダービー(SirH.Davy)がボーキサイトを電気分解の手法でアルミナ(酸化アルミニウム、Al2O3)の製造に成功したことをきっかけとして始まる。20世紀の中頃から、大規模で効率的な発電所の建設とともに、送電システムが確立されることで、大規模なアルミニウムの電気精錬が行われるようになり、大量生産が行われ広く利用されるようになった。

 

アルミニウムの原料

アルミニウムの原料は、ボーキサイトとよばれる、アルミナを52~57%含む赤褐色の鉱石であり、オーストラリア、中国、ブラジルなどが主な産地である。

アルミニウムの製造方法

アルミニウムの製造は、ボーキサイトを電気分解して、白い粉末状のアルミナを取り出す、精製から始まる。次に、アルミナは溶融氷晶石の中で電気分解され、アルミニウム地金が製造される。電気精錬には大量の電力が必要とされるため、その国の電力政策に密接的にかかわるため、電気代の高い日本では精錬されておらず、アルミニウム地金の形で輸入されることが多い。アルミニウム地金は、圧延・押出し・鍛造・鋳造などの加工によって、いろいろな形の製品素材に成形される。

アルミニウムの用途

アルミニウムには、航空機用材料、建築材料、導電材料、ヒートシンクなどの用途で使われる。

アルミニウムの加工性

アルミニウムの加工性は高く、延性に富み、しばしば塑性加工により加工される。圧延、押出しなどの展伸材用途に適する。また、融点が低いため、鋳造が容易である。アルミニウムは酸類やアルカリには侵されやすいが、空気中では表面にできた酸化皮膜により内部が保護される。

一般性質

アルミニウムの一般性質は、鉄に比べて、軽量で耐熱性、耐食性、導電性、鋳造性、加工性が優れている。のびが大きく靭性があり、機械加工性に優れている。そのため利用性は幅広いが、引張強さは劣っている。加工硬化は生じやすい。

アルミニウム板の機械的性質(1.5㎜板)

アルミニウム板の機械的性質(1.5㎜板)

比重

アルミニウムの比重は、2.7で、鉄Fe(7.8)や銅Cu(8.9)に比べてほぼ3分の1の軽さである。航空機や鉄道など、軽くするメリットが大きい機械にて重宝される。

アルミニウムの性質

アルミニウムの性質は下記のとおりである。

Alの物理的性質

比強度

アルミニウムは、比強度(単位重量当たりの強度)が大きく強度の素材である。軽くて丈夫なため、様々な機械の構造材として利用される。

耐食性

アルミニウムは、空気中で緻密で安定な酸化被膜をつくり、耐食性に優れている。酸化皮膜を人工的に厚くしたものがアルマイト(陽極酸化被膜)で、これはアルミニウムの表面を酸化させたものである。

通電性

アルミニウムは、銅(Cu)に次いで高い導電率(電気を通す)のため送電線などに使用される。

非磁性

アルミニウムは、非磁性(磁気を帯びない)で磁場に影響されないため、医療機器やアンテナなどの通信機器、電気設備などに使用されている。

熱伝導率

アルミニウムが熱伝導率が高く、鉄の約3倍である。

低温

アルミニウムは、低温に強く、極低温下でも脆性破壊がない。

無毒性

アルミニウムは、無害・無毒で、人体に影響が少ない。

反射性

アルミニウムは、光や熱をよく反射する特性を持ち、エネルギーの90%以上を反射することができる。

純アルミニウム

純アルミニウムとは、アルミニウムのうち純度99.00%以上のアルミニウムである。加工性、熱伝導性、電気伝導性に優れているが、強度が劣ることが特徴である。

アルミニウム合金

アルミニウム合金とは、アルミニウムの性質を改良するため、純アルミニウムにCu、Si、Mg等の元素を添加して強度を高めるなどの機械的性質を向上させた素材である。アルミニウム合金は用途により、板、はく、型材、、棒および鍛造品に加工する圧延用合金(展伸用合金)と、ダイキャストなどの鋳造用合金に分けられ、また、これらは、さらに非熱処理型合金と熱処理型合金に分けられる。

アルミニウム合金の低温の機械的性質

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